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■英語の勉強法リスニングの勉強計画

6.リスニングの勉強方法

 ここでは、リスニングの勉強方法について解説する。英語の聴き取りは、一番伸び難い分野であるが、同時に得点できるようになれば安定しやすい分野でもある。英文法、英文解釈、長文読解で培った能力を総動員してリスニング問題を解くこととなる。
 また、リスニング能力の向上は、他の分野の底上げもしてくれる。リスニングができるようになるには時間をかなり要するので、早い時期から毎日コツコツと継続して練習することが重要である。

 次のような構成となっており、各段階で使用する参考書を紹介する。
 また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。
受験勉強以前に全教科に通じる論理的思考を学びたい者は、LAAD(外部サイト[詳細説明])で学ぶことを強く奨める。

  6-1.英語耳慣らし期:4〜5月
  6-2.文章理解期:6〜7月 8月は総復習
  6-3.多聴期と問題演習:センター試験レベル:9〜11月 12月からは過去問演習
  6-3.多聴期と問題演習:二次・私大試験レベル:9〜11月 12月からは過去問演習


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6-1.英語耳慣らし期
 では、リスニングの勉強方法について詳細を説明する。リスニングの勉強は、英語の学習を開始した日から始める。最初は長文等を聴かず、一文一文短い文を聴き英語に耳を慣らすことから始める。その際に、音読は勿論、ディクテーションシャドーイングを行うことが重要である。リスニングをかじったことがある多くの者は理解していると思うが、単に英語を聴くだけでは、英語の聴き取り能力はほとんど向上しない。音読、ディクテーションそしてシャドーイングを行うことがリスニング能力の向上を実現する効率的な手段なのである。
 この最初の英語に耳を慣らす時期では、日本語にはない英語の音、音と音との連結や同化、脱落を意識できるようになることが目標である。

 勉強を開始したばかりで音を余り聴き取れないだろうから、最初の2カ月は、リスニングにかける勉強時間も30〜60分程度でよいので、毎日勉強をしてじっくりと勉強をして英語に慣れる。ディクテーションやシャドーイングを本格的に行う勉強以外にも、登下校中の空き時間等には、教材の音を聴き込むことを行えばさらによい。この際に使用する教材は、『新・基本英文700選』を使用する。


新・基本英文700選』 駿台文庫

1.特徴
 左に英文、右に和訳が掲載されている。解説はほぼないので自分で英文解釈して英文の構造を分析しながら、ひたすら書き、暗唱しながら暗記していくことになる。700選なだけであって十分過ぎるほど英語構文の量が掲載されている。
 本書は、主に英文解釈のための構文集として使用されることが多いが、使用方法は英文解釈のために止まらず、英作文、リスニングにの学力を向上させてくれる。本書は解釈と読解に必要な構文としてあるが、その内容は英作文を行うときも使える内容となっている。
 さらに、リスニング能力を向上させるためのディクテーション兼シャドーイング教材として使用しながら音とともに例文を暗記することで、長文読解等で読めば理解できるが聴くと理解が追い付かないという現象も解消してくれる。いわば英語の学力を総合的に高めてくれる逸材である。

2.補足
 上述したが、解説はほぼないので自力で英文解釈する必要がある。
 本書を使用し始めた最初の段階では、理解できず、リスニングの練習を行うだけで終わるかもしれないが、英文解釈の学習が進んだ段階で再度英文解釈して構文をとり直せばよいので気にせず本書での学習を進めてほしい。
 また、一度に暗記しようとせず、何度も反復して結果として覚えるという状態でよいので、量の多さに挫折せずにコツコツと進めてほしい。
 それでは、『新・基本英文700選』を用いたリスニングの練習方法と暗記の仕方を説明する。最初にスクリプトを見ずに1文を1回聴く。そして、聴こえた様に単語を書き1文をつくる。おそらく最初の段階では、1回では完全に1文を復元できないので、すぐにスクリプトを確認する。
 その後に、2、3回程聴き返して復元できない箇所に集中しながら1文を再現できるようにしてみる。そしてスクリプトを見て自分が書き取った文と比較して、聴き取れなかった箇所を再度確認する。聴き取れなかった箇所が、連結、同化、脱落によるのか等を明確にした後、もう一度スクリプトを見ながら1文を聴き直す。

 ディクテーションが終了した次はシャドーイングを行う。先ずスクリプトを見ずに、恐らく読み上げについていけないだろうが、英語の読み上げを追って実際に1回発音してみる。
 次にスクリプトを見ながら、つっかえずに音源を追いかけることができたら、もう一度スクリプトを見ずにシャドーイングを行い読み上げについていく。上手くついていけたらその文は終了する。
 そして次の文へと取り掛かり、以後、繰り返していく。

 1日にどれだけの例文を勉強するかは、各人の英語の学力によるが最低でも5文は行いたい。1度練習した例文は空き時間等に確認する程度の復習でよいので繰り返し聴き込む。毎日やれば加速度的に覚えられる量は増えていくので、最初から一度に多くの例文を学習しようとせず、焦らずに徐々に増やしていけばよい。
 2カ月で350文以上消化できれば十分であので、それを目標に頑張ってもらいたい。

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6-2.文章理解期
 英語の音に対して耳が慣れた次の段階では、短めの文章も大体の意味を理解できるリスニング能力の獲得を目指す。
 英語の音に慣れ一文ならば聴き取れ意味も把握できるようになった段階から、短い文章をリスニングで聴いて意味を把握するまではかなり能力に開きがある。一文毎なら英語を処理する速度はそこまで必要に感じないが、文章になると一文を処理している間に次ぎの一文が話されるため、英語を英語で処理していくことに慣れる必要がある。したがって、この段階では一文一文を正確に聴き取る練習をしながら、並行して短めの文章を聴き込む練習も行うこととなる。勿論、音読、ディクテーション、シャドーウィングはここでも繰り返し行うことが重要となる。

 1週間に1日程問題を2題ずつ解き、ディクテーションやシャドーイングを行い、じっくり勉強する時間を確保したい。後は毎日10分程度のリスニング、音読とシャドーイングを行い復習する。2カ月程度で『リスニングのトレーニング 必修編』を1冊完璧に仕上げる。

 また、これと並行して、『新・基本英文700選』を6-1.英語耳慣らし期と同様の勉強方法で例文暗記を継続する。勿論この段階で、全例文を完璧に覚えられているとは想定してないが、2カ月程度で700文全てを1度暗記したという状態にしておく。


大学入試 リスニングのトレーニング 必修編』 Z会出版
1.特徴
 短めの文章を聴きながら設問に答えていくリスニングの問題集。問題文をただ読み上げるだけでなく、リスニングの学習がしやすいようにチャンク(塊)ごとに区切りながら聴くことができるように配慮もされている。
 設問に対する解説も詳しいので、本書でしっかりと学習すれば、センター試験レベルのリスニング能力は習得できる。後はセンター型の問題集で演習を行えばリスニング問題は満点近く取れるようになるだろう。

2.補足
 本書は、問題を解いた後もディクテーション等の練習もできるように構成されているので、問題を解いて終わらせるのでなく、その特徴を活用してシャドーイングも忘れずに行うこと。

 以上の学習を行えば、4〜7月でリスニングの基礎的な能力は十分に身に付いているはずである。後は以下で説明する多聴と問題演習を行えばリスニングを得点源にすることができる。

 8月は『新・基本英文700選』で、ひたすらシャドーイングをやり込み完璧に暗唱できる例文を600以上とすることを目指して復習する。覚えていない例文はディクテーションを行いながら冬までに覚えればよい。また、『リスニングのトレーニング 必修編』も毎日1題ずつシャドーイングしてすらすらと音読できるようにして復習をする。


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6-3.多聴期と問題演習:センター試験レベル 
 上記の学習をして英語の聴き取りの学習を行っていれば、センター試験レベルの問題は聴き通せるだけの能力は養われるだろう。その段階に至れば、後は設問形式に慣れ、設問から聞き逃してはいけない箇所に集中する方法等に慣れることで、多くの者はリスニングの試験対策は十分であり、センター試験のリスニング問題も満点を狙えるはずだ。
 『新・基本英文700選』のシャドーイングと暗唱の反復練習を継続しながら、センター試験型の問題集で演習すればよい。

 以下で問題集を紹介する。


■『大学入試センター試験英語リスニング実戦問題10回Red』 Tomato
  『大学入試センター試験英語リスニング実戦問題10回Blue』 Tomato 

1.特徴
 センター試験のリスニング問題に特化した問題集。2冊併せて問題数も500問と十分にあり解説も丁寧なので、本書で問題演習を行いながら設問に慣れることができる。今までリスニングを学習してきたことと併せれば、センター試験レベルのリスニングは安定して満点をとれるようになるはずだ。
 何回か解いていくと自分が引っ掛かりやすい設問等が見えてくるので、そうしたことに注意しながら問題を解いていき、本番で間違えないように問題演習を行うように心掛けること。

2.補足
 本書は、問題を解いた後もディクテーション等の練習もできるように構成されているので、問題を解いたときや復習時のシャドーイング等で聴き取れなかった箇所は、ディクテーションを行いながら聴き込むとよい。
 時間がない場合は『Red』版のみを行うのでもよい。2冊使用する場合は『Red』版から『Blue』版へと進むようにする。

3.進度
 9月から本書を使用し始めると想定した場合、20回なので1週間の内1日1回分を解き、残りはシャドーイング等をしてその復習にあてればよい。




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6-4.多聴期と問題演習:二次・私大試験
 東京大学や外語大等の本格的な長文のリスニング問題を課す大学では、上述したリスニングの勉強だけでは不十分である。そうした大学を志望する者は、さらに長い文章を聴き通すための体力が必要である。この段階では、今まで勉強して来た精聴に加えて、多聴する必要がある。多聴は多くの文章を何回も聴くことであり、長文読解と似たように英語に慣れて処理能力を向上させることが目的である。この場合も問題を解くだけでなく、音読とシャドーイングを実行してリスニング能力を向上させる学習が重要となる。
 『新・基本英文700選』の反復練習は上と同じだが、以下で紹介する問題集等を使用して長い文章を聴く体力を養成してもらいたい。この練習を積んでいれば、センター試験のリスニング問題は過去問演習で何回か練習するだけで基本的には間違うことはないので、センター試験のリスニングについてば過去問演習以外に特別に対策を講じる必要はない。
 以下で使用する問題集を紹介する。また問題演習とは別に多聴する意味で『速読英単語』とそのCDを使用してシャドーイングするとい。


■『大学入試 リスニングのトレーニング 上級編』 Z会出版
1.特徴
 『大学入試 リスニングのトレーニング 必修編』の続編。問題文をただ読み上げるだけでなく、リスニングの学習がしやすいようにチャンク(塊)ごとに区切りながら聴くことができるように配慮もされている。設問に対する解説も詳しいので、本書でしっかりと学習すれば二次・私大試験でのリスニングにも対応できるようになる。

2.補足
 問題を解く際は、イヤホンではなく、スピーカーで行うことをすすめる。実際の二次・私大の入試ではセンター試験とは異なり、教室のスピーカーを通してリスニング問題が流れることが多いため、イヤホンでの聴き取りと勝手が異なるためである。実際にスピーカーでリスニングを行うと、広い空間で音が響くと非常にj聴き取り難くなることが分かるはずだ。
 本書は、問題を解いた後もディクテーション等の練習もできるように構成されているので、問題を解いたときや復習時のシャドーイング等で聴き取れなかった箇所は、ディクテーションを行いながら聴き込むとよい。
 東京大学や東京外国語大学等、かなりの長文のリスニングを課す大学を志望する者は、本書でなく、下で紹介する『キムタツの東大英語リスニング』を本書に代えて使用する方がよい。また、本書を早く解き終えてしまいさらに難しい問題集を求める場合は下で紹介する『大学入試 パーフェクトリスニング Volume2』を用いて問題演習を繰り返せばよい。

3.進度
 9月から本書を使用し始めると想定した場合、実力判定問題含めて20題なので、1週間の内1日2題を解き、残りはシャドーイング等をしてその復習にあてればよい。
 本書を11月半ば位に終えるようにして、過去問演習に入りたい。


 ■『キムタツの東大英語リスニング BASIC』 アルク
   『灘高キムタツの東大英語リスニング』 アルク
  『キムタツの東大英語リスニングSUPER』 アルク

1.特徴
 東京大学のリスニング問題に特化した問題集。正直巷で絶賛される程の内容はないと思うが、東京大学の課すリスニング問題に適した問題集は本書くらいなので、利用価値は高く良い問題集である。
 『キムタツの東大英語リスニング』を使用するのが基本で、それを終了して過去問演習に入るまでに時間があれば『キムタツの東大英語リスニングSUPER』でさらに問題演習を積むというのが流れである。
 『キムタツの東大英語リスニング』を使用して少し難しいと感じれば、語数を短いものから長いものへとステップアップする方式の『キムタツの東大英語リスニングBASIC』を解いてから、また『キムタツの東大英語リスニング』に戻るという流れで使用する。
 
2.補足
 東大に特化しているとはいえ、東京外国語大学等の長さの良いリスニング問題集がないので、そうした大学を志望する者も、本書でリスニングの問題演習を行うことをすすめる。
 問題を解く際は、イヤホンではなく、スピーカーで行うことをすすめる。実際の二次・私大の入試ではセンター試験とは異なり、教室のスピーカーを通してリスニング問題が流れることが多いため、イヤホンでの聴き取りと勝手が異なるためである。実際にスピーカーでリスニングを行うと、広い空間で音が響くと非常にj聴き取り難くなることが分かるはずだ。

3.進度
 『キムタツの東大英語リスニング』と『キムタツの東大英語リスニングSUPER』は各書30題ずつあるので、『キムタツの東大英語リスニング』のみを使用する場合は、3カ月で使用し終わるように、1週間の内で1日で2、3題ずつ解き、残りの日はシャドーイング等の復習にあてる。
 『キムタツの東大英語リスニングSUPER』も使用する場合は、『キムタツの東大英語リスニング』を1カ月半、『キムタツの東大英語リスニングSUPER』を1カ月半で終えるように勉強する。よって1週間で4〜6題ずつ解き、復習していく流れとなる。
 『キムタツの東大英語リスニングBASIC』を使用する場合は、おそらく『キムタツの東大英語リスニングSUPER』まで終えることは難しいので無理せずに、『キムタツの東大英語リスニングBASIC』を1カ月半程度で終えて、『キムタツの東大英語リスニング』を2カ月で終えるように学習していけばよい。





 ■『大学入試パーフェクトリスニング(Volume2)』 駿台文庫

1.特徴 2.補足 3.進度
 解説がほぼなく、スクリプトと和訳、解答が付されているだけだが、問題レベルと読み上げ速度も速く、リスニング上級者向けの問題集。リスニングが得意で上述してきた学習を早くに終えてしまい過去問演習に入るまでに問題演習をしたい場合に、本書を使用するとよい。
 豊富な問題量と高いレベルから、おそらく本書を全て終えることはかなり難しいだろうが、リスニングをさらに伸ばしたい者ののために一応紹介しておく。
 本書が難しくついていけないと感じたら大人しく使用を中止して過去問演習に入ったり、他の教材で多聴をすることをすすめる。



 問題演習を終えた後は、過去問演習を行い、志望大学の設問形式に慣れれば十分リスニングを得点源とできる。

 ここまでリスニングの学習の流れを説明したが、注意点として次のことを述べておきたい。リスニングに対して初学者や苦手意識を持つ者は、最初の英語に耳を慣らす時期に、しっかりとした学習をしていないことが多い。短めの文章すらも聴き込むことを苦痛に思い消化していない場合が多いはずだ。これらの最初の段階を耐えて勉強し続ければ、リスニングの勉強は段階的に量を増やしていくだけなので、最初の苦労に比べれば楽なのものになる。確かに聴き取れないと勉強していもつまらないかもしれないが、忍耐強く最初の段階の学習をしっかりと勉強することが重要であると肝に銘じて精進してもらいたい。

 また、同じ文章を何度も繰り返し聴いて意味があるのかという疑問もあるだろう。学習の最初の段階では、英語の音を脳に刻むことが重要で、満足に聴き取れない段階で多聴しても学習効果は薄い。同じ文章で覚えるくらいに聴き込んで口に出して発音することで英語の音を覚え、無意識にでも聴き取れるようになることが重要なのである。単語帳を最初から何冊も並行して暗記すると効率が悪いのと同じ理由と考えたら分かるだろう。


 以上で、リスニングの勉強方法についての解説を終える。リスニングは英語の学習の中で一番根気が必要である分野だが、得意とすれば英語全体の能力が上がるので、面倒臭がらずにしっかりと精進してもらいたい。


 ・英語の勉強方法
1.英語の勉強計画
2.英文法の勉強方法
3.英文解釈の勉強方法
4.長文読解の勉強方法
5.英作文の勉強法
6.リスニングの勉強方法
7.英単語等の勉強方法
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