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■国語の勉強法

3.漢文の勉強方法

 ここでは漢文の勉強方法について解説する。漢文は古文と同様に国語の得点源となる科目である。なぜならば、漢文は勉強すべき量が他科目に比べて非常に少ないにもかかわらず、センター試験でいえば200点中50点も配点がある。問題レベルも現代文、古文に比べれば大半が平易であり一番成績が上がりやすい。漢文を得意科目にすることで、失点せず国語の総得点の下限を支えることができる。このような利点が多い漢文は、時間がない等言い訳して勉強しないのは非常にもったいない科目であり、大学合格という点からも是非とも精を出して勉強してもらいたい。

 それでは、漢文の勉強方法について概略を説明する。漢文といえば何と言っても文法と句形が命である。大学入試のレベルにもよるが、暗記すべき句形の数は、英単語や古文単語に比べてかなり少なくてすむ。そんな少ない句形だが完璧に暗記さえすれば、漢文学習の5割は終えたといえる。後の3割は読解、2割は単語、1割は最近少ないが漢詩といったところである。最初に文法と句形をしっかりと固めて、読解問題を解いていけば、漢文は合格点に簡単に届く。

 次のような構成となっており、各段階で使用する参考書を紹介する。
 また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。
受験勉強以前に全教科に通じる論理的思考を学びたい者は、LAAD(外部サイト[詳細説明])で学ぶことを強く奨める。

  3-1.基礎固め
  3-2.読解方法の習得
  3-3.発展学習


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3-1.基礎固め
 文法、句形といった漢文の基礎固めの時期の勉強方法について述べる。ここでは返り点等の基本的な文法と共に句形を学習する。この基礎固めの段階で手を抜くと、軽くて簡単で得点しやすいおいしい漢文の全てが上手くいかなくなってしまうので、しっかりと行うことが重要だ。逆に漢文が不得意な者は、この基礎固めができていない者であることが多い。

 漢文における単語(句形等を除く)は英語や古文に比べて重要性が落ちるが、知っていると知ってないのでは得点に差がつく。漢文単語を疎かにする者が意外にも多いが、しっかりと暗記する必要がある。


 ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習』 河合出版

1.特徴
 全10章で構成され、句形をポイント・ドリル・基本問題・練習問題とステップアップ式で暗記していく形式となっている。句形は本書で十分に固めることができる。
 また、練習問題は入試で実際出されるような読解問題の形式が掲載されているので、句形暗記を行った後に読解問題を体験することができる。

2.補足
 句形暗記を既にしっかりと行ってきた者には句形のドリルは不要であるが、暗記したつもりで実は曖昧なままでは以後の漢文学習に支障が生じる。句形暗記の確認に是非使用することをすすめる。
 また、本格的な読解問題の橋渡しも本書で兼ねているので、読解問題の勉強方法で紹介する問題集をいきなり解く自信がない者は、本書の基本問題、練習問題を解いてからそちらへ進むことをすすめる。
 なお、定期的に句形を暗記しなおす際には本書を用いてもよいが、下記の『文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード』を使用すれば句形の反復暗記に加えて語彙の確認もできるのでそちらで代用することをすすめる。

3.進度
 1日1章ずつ、一度解いた章は翌日、1週間後と復習を行いながら3週間程度で本書を1周終える。その後、以下の問題演習をしながら、もう1周程度解くと句形と読解を結びつけることが容易になる。


 文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード』 Z会出版

1.特徴
 例文と確認問題を用いながら漢文句形、重要単語、漢文常識等を暗記できる構成となっている。他にも漢詩の知識や漢文の文章展開の型も掲載されている。本書で漢文の基本的な暗記事項は全て網羅できる。センター試験から二次・私大試験レベルの漢文に必要な知識は必要十分に学習できる1冊となっている。

2.補足
 しっかりと漢文句形を暗記してきた者は、確認問題が付いている本書で漢文句形の反復暗記に努めるだけでも十分だが、上の『ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習』を先ず用いて暗記すると定着しやすい。
 センター試験のみ漢文を使用する者は、赤、薄赤の語句等を暗記すれば十分である。
 二次・私大試験にも漢文を用いる者は、灰色の語句等もしっかりと暗記すること。

3.進度
 適宜、漢文学習の中に組み込んだり、隙間時間に定期的に本書を読む等して、何度も繰り返して知識の暗記を行ってもらいたい。



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3-2.読解方法の習得
 次に、漢文の読解問題の勉強方法について述べる。この段階では、暗記した漢文の句形を読解問題で応用できるように演習を積む。漢文の問題演習を終えれば、後はひたすら過去問演習で学んだ解法等を練習していけばよい。

 国公立二次試験で記述問題が主に出題される大学を志望する者は、必ず『得点奪取 漢文 記述対策』を解いて記述問題で減点されない答案を書けるようになること。記述問題とその書き方を練習せずに答案を作成していると、読解はできているのに案外点数に繋がらないことが多い。
 私大専願の場合、記述問題は少ないであろうから、『得点奪取 漢文 記述対策』を無理に解く必要はない
 センター試験のみ漢文を使用する者は、『センター試験漢文 出題パターン攻略』のみを解いた後に、過去問演習に入ればよい。二次私大対策の漢文を行っている者は、『センター試験漢文 出題パターン攻略』は使用する必要はなく、センター試験の過去問で形式に慣れれば十分である。


 入試精選問題集9 漢文』 河合出版
1.特徴
 二次・私大レベルの問題集。最初に設問の解き方がまとめられているので、ここで解き方を確認したら後はひたすら全30題の問題を解いていくだけだ。
 常に解法を意識して、学んだ句形や単語を活用して本書で演習を積むとよい。解説が非常に丁寧で、基礎から発展までを無理なく学習して、難関大の問題にも対応できる学力をつけられる。

2.補足
 客観問題だけでなく記述問題も収録されているが、国公立二次試験で記述問題を中心に出題される大学を志望する者は、下記で紹介する『得点奪取 漢文 記述対策』を並行して使用することをすすめる。

3.進度
 1日1題ずつ解き、1日1題ずつ、2カ月程度で1周する。1度解いた問題は、1週間後に再度解答の根拠を意識しながら解きなおすこと。


 得点奪取 漢文 記述対策』 改訂版 河合出版

1.特徴
 漢文の記述問題に特化した問題集。現代語訳・内容説明・理由説明・趣旨説明と典型問題を通じて記述問題の解法と答案の作成方法を学び、練習問題で定着させる構成となっている。
 解説が詳しく、答案作成で気を付ける点を細かく学んでいける。本書をじっくりやれば、記述問題でつまらない減点をされることはなくなるだろう。

2.補足
 国公立二次試験で漢文が課される者にとって本書は必須の問題集。本書の典型問題を先ず解いてから、本書で学んだことを、本書の他に上で紹介した『入試精選問題集9 漢文』の演習の際にも意識しながら行うとよい。なお、私大専願の者は本書を解く必要はない。

3.進度
 典型問題は毎日1題ずつ解く。なお、1度解いた問題を翌日、1週間後に解答の作成方法を重点的に意識しながら復習する。
 練習問題は1日1題ずつ解き、1カ月程度で終わらせる。なお、ここでも1度解いた問題は、1週間後に復習する。


 ■『センター漢文 出題パターン攻略』 河合出版
1.特徴
 センター試験に特化して過去問を用いながら設問の解法を学んでいく構成となっている。解説が丁寧なので、本書でセンター試験の出題形式と解法の要点を学習した後に過去問演習に入れば、自力で設問の根拠を導き出すことができるようになる。

2.補足
 一応、漢文句形のまとめ等は掲載されているが、あくまで演習本である。各自でしっかりと漢文句形や重要単語を覚えた段階で本書を使用しないと、学習を円滑に進めることができないので注意が必要である。
 二次・私大試験レベルの対策をとっている者には基本的には本書は不要である。

3.進度
 センター試験の過去問演習に入る前に本書の使用を開始して、2〜3週間程度で1周する。その後、過去問演習の際に、自分が解けなかった設問の解法については逐一本書で確認していけばよい。



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3-3.発展学習
 最後に、漢文の勉強の主流に使う必要はないが、より理解が深まる参考書を紹介して本項を終える。時間に余裕があり、漢文を更に詳しく学んでみたい向学心に溢れる者は読んでみることをすすめる。 


 ■『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』 講談社
1.特徴
 二畳庵主人こと加地伸行大阪大学名誉教授による参考書を文庫サイズで復刻したものである。元々はZ会の教材の連載物であった。
 返り点から句形、助詞、構文等を口語体で大変丁寧に解説している。本書の内容は現在の受験でも使えることばかりで、単純な暗記になりがちな句形等を根本から理解することができる。

2.補足
 文庫といっても約600貢あり厚いので、しっかりと読み込むとそれなりに時間はかかる。あくまで時間に余裕があり、漢文を少し詳しく勉強してみたいという者のみにすすめられる。または、漢文の句形暗記がどうしてもはかどらない等、苦手分野のみに絞って該当箇所を読むという方法で本書を使用するのも一つの方法としてある。

3.進度
 各自の学習計画に応じて読めばよい。



 以上で、漢文の勉強方法についての解説を終える。


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