受験勉強法学 Examics

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■国語の勉強法

1.現代文の勉強法

 ここでは、現代文の勉強方法について解説する。国語・現代文は全ての科目の基礎とよく言われる様に、国語力・現代文の学力が最低限なければ、国語に限らず他科目の問題も正しく解くことはできない。現代文の学力は全ての科目の成績の向上の基礎となる。
 理系でセンター試験のみ国語を受験する者についても、これを肝に銘じて最低限の基礎的なことは勉強しておくべきである。とはいえ、所詮現代文は、正しく文章を読んで論理展開を追いつつ解答に必要な要素(採点基準)を見つけ出し答案として構成するということができればよいだけなので、気負う必要はない。
 しかしながら、この非常に単純明快な3段階の手順が如何に難しいかは既に皆が経験し身を以て理解していることだろう。確かに現代文を捉えどころがない科目に感じる者が多くいるのが現状である。最近の現代文の参考書の充実から、現代文を感覚的に解くのではなく論理を追いながら解くという方法が浸透してきたようにも感じられるも、やはり多くの受験生は苦手に感じたり自分の答案に自信が持てないことが多いようである。現代文が中々伸び難い科目であることは確かだが、しっかりと対策を行えば、完璧な答案を作成できずとも、部分点をしっかりと拾えるようになる。各設問の部分点が積み重なることで、皆が苦手とするこの現代文という分野で、数学での1問分に相当する位の点差がつき得るのである。したがって、現代文は初めから捨てることなくしっかりと勉強して得点源とすべき科目であることが分かるだろう。

 注意点として同じ問題集を復習する際に注意してほしいことは、解答を暗記するのではなく、文章の展開からどこに注目してどのように文章を読んで理解するのか、理解したことを前提に設問に対する答えが何故そうなるのか、ということを意識することが重要だということだ。多くの文章問題を読解していく過程で、読み方を矯正していくのが復習の目的だからだ。解答を暗記するだけでは他の問題に応用が利かなく効果が薄れる。このことは肝に銘じておいてほしい。

 では、具体的な現代文の勉強法について説明する。
 次のような構成となっており、各段階で使用する参考書を紹介する。
 また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。
受験勉強以前に全教科に通じる論理的思考を学びたい者は、LAAD(外部サイト[詳細説明])で学ぶことを強く奨める。

  1-1.基礎固め
  1-2.入試実践力の養成
  1-3.記述力の研磨
  1-4.単語・漢字の補強


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1-1.基礎固め
 現代文の基礎固めの段階においては、正しく文章を読んで論理展開を追いつつ解答に必要な要素(採点基準)を見つけ出し答案として構成するという基本的な技術を身に付けることが目標である。技術といっても、数個の公式を組み合わせて当てはめれば答えが出るというような魔法のようなことは有り得ないことは肝に銘じてほしい。
 以下に紹介する問題集を忍耐強く順を追って取り組み、この基本技術をしっかりと身に付けてほしい。

 なお、理系でセンター試験のみ国語を使用する者は、『入試現代文へのアクセス 基本編』を学習し、時間に余裕があるのならば、姉妹本の『入試現代文へのアクセス 発展編』を解く。その後は『きめる!センター現代文』でセンター試験の形式に慣れた後に、過去問演習に入るとよい。


 入試現代文へのアクセス 基本編』 河合出版

1.特徴
 例題4題で読解の基本的な事項を学習した後に、入試問題の演習を通じて読解力を養成する構成となっている。現代文で重要な語句・概念の解説も少し掲載されている。
 現代文を漠然と読み、感覚的に答案を作成してきた者に対して、文章の読み方や論理の追い方と解答の根拠の見つけ方を丁寧に教授してくれる問題集である。
 解説の丁寧さに加えて問題文も平易なので、初めて本格的に現代文を勉強する者は本書を最初に使用することをすすめる。

2.補足
 模試(河合塾・駿台)で現代文の偏差値が安定して60を超えて現代文にある程度自信がある者は、本書を使用せず、下記の『現代文と格闘する』にいきなりとりかかってよい。

3.進度
 1日1問のペースで1カ月程度で本書を解き終える。
 1度解いた問題は1週間後位に、学習した事項を意識しながらもう一度解きなおし、自分で解説されているような文章の読みができているかを確認すると学力の定着がよりはかれる。その際に、文章の解説を暗記したことをただなぞるのではなく、論理の追い方を意識して行うことに注意すること。


 入試現代文へのアクセス 発展編』 河合出版
1.特徴
 上で紹介した『入試現代文へのアクセス 基本編』の姉妹本で発展編である。『入試現代文へのアクセス 基本編』で学習したことを同様の解説で、より難しい問題文で演習することができる。センター試験・中堅私大レベルの学力を培うことができる。

2.補足
 『入試現代文へのアクセス 基本編』と同様に、模試(河合塾・駿台)で現代文の偏差値が安定して60を超えて現代文にある程度自信がある者は、本書を使用せずに下記の『現代文と格闘する』にいきなりとりかかってよい。ただし、下記の『現代文と格闘する』に挑戦して難しすぎると感じたならば、本書を一回挟むことをすすめる。

3.進度
 1日1問のペースで1カ月程度で本書を解き終える。
 1度解いた問題は1週間後位に、学習した事項を意識しながらもう一度解きなおし、自分で解説されているような文章の読みができているかを確認すると学力の定着がよりはかれる。その際に、文章の解説を暗記したことをただなぞるのではなく、論理の追い方を意識して行うことに注意すること。
 なお、ある程度現代文の問題について読み慣れや解き慣れがある者や、『入試現代文へのアクセス 基本編』を使用した等で文章の読み方等を学習した者は、自分のペースでもっと早く解き終えてもよい。




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1-2.入試実践力の養成
 現代文の基本的な技術を学習した後は、入試実践力の養成の段階に入る。この段階の勉強を終える頃には、東京大学・京都大学等の難関大学の現代文の問題も解ける学力を身に着けることが目標だ。先に学んだ現代文の基本的な技術を、難解な文章についても正しく読み解くことができるように演習をしていく。

 この段階の学習を終えたらならば、後は過去問演習に入って志望校の傾向を把握し対策していけばよい。

 以下に紹介する問題集を順を追って取り組み、基本技術から確固とした実践力をしっかりと身に付けてほしい。


 現代文と格闘する』 改訂版 河合出版

1.特徴
 「『ことば』をイメージする」「文章を読みつなぐ」「文章と格闘する」の3部構成。骨がある問題文を使って、非常に丁寧に文章の読み方を解説しており、解答の要素となるものの発見の仕方、答案作成の過程も丁寧に示されている。現代文に必要な背景知識も問題解説の中で自然と身に付けることもできる。
 本書を1冊仕上げることで、難関大学を含めて受験に必要な現代文な学力は必要十分に身に付くだろう。

2.補足
 本書を使用して難しすぎると感じた場合は、上の『入試現代文へのアクセス 発展編』を一度解いてから再度本書に挑戦してほしい。なお、本書の後に、旧帝大等の難関国立志望者は下の『得点奪取 現代文 記述・論述対策』を、早稲田等の難関私大志望者は下の『入試精選問題集7 現代文』を使用すること。

3.進度
 1日1問のペースで1カ月程度で1周目を終える。
 1度解いた問題は1週間後にもう一度、学んだ文章の読み方と答案作成の過程を意識して解きなおす。
 1カ月後にもう一度同様に解きなおす。その際に、文章の解説を暗記したことをただなぞるのではなく、論理の追い方を意識して行うことに注意すること。

得点奪取 現代文 記述・論述対策』 三訂版 河合出版
1.特徴
 記述問題に特化しており、文章の読み方よりも、記述問題での答案作成に必要な思考方法を身に付けるための問題集。
 「第一部典型問題編」で記述問題のパターンと答案作成の方法を生徒の答案の添削を通じて学習する。
 「第二部練習問題編」で前部で学習した事項を演習していく形式となっている。
 設問解説も丁寧で、採点基準も模試さながらにあり、記述問題で何をどのように書くかということが本書で身に付けることができる。

2.補足
 採点基準や模範解答をただ暗記するだけでは意味がない。答案作成の過程を学ぶことを意識しなければ、復習してもあまり意味がないので注意されたい。
 また、旧帝大等の難関国立大学志望者以外は、現代文で他受験生と差をつけようと考えてない場合は、無理して使用する必要はない。

3.進度
 「第一部典型問題」は1日1問のペースで1週間程度で1周目を終える。1度解いた問題を1週間後にもう一度復習する。
 その後、「第二部練習問題編」を1日1問のペースで1カ月程度で1周行う。1週間後にもう一度復習する。
 1カ月後、本書をもう一度通して復習する。ここでも、文章の解説を暗記したことをただなぞるのではなく、論理の追い方、解答の要点抽出を意識して行うことに注意すること。


 ■『入試精選問題集7 現代文』 四訂版 河合出版

1.特徴
 客観問題と記述問題が半々程で構成されている問題集。難関大学志望者の演習に適している。典型問題5問と演習問題20問で構成されている。
 早稲田等の難関私大志望者においては、本書で現代文の学力は完成するだろう。

2.補足
 早稲田等の難関私大志望者以外で現代文で他受験生と差をつけようと考えてない場合は、無理して使用する必要はない。
 志望大学が記述式のみを出題する場合は、本書を無理して使用する必要はない。その場合、本書を使用する余裕があるのならば、下で紹介する『上級現代文』を使用することをすすめる。

3.進度
 1日1問のペースで解く。一度解いた問題を1週間後にもう一度解きなおして、2カ月程度で1周を終える。
 その後、1カ月後にもう一度解きなおす。ここでも復習の際には、文章の解説を暗記したことをただなぞるのではなく、論理の追い方を意識して行うことに注意すること。


 ■『きめる! センター現代文』 学研
1.特徴
 センター試験の現代文に特化した問題集。センター試験の現代文は客観問題のみだが癖があり、それ故に形式に慣れておかないと痛い目にあうことが多い。本書を通じてセンター試験の現代文の形式に慣れ、選択肢の切り方等を習得することができる。
 センター試験の過去問で演習する前に本書で方法論等を予め学んでおくことをすすめる。

2.補足
 『入試現代文へのアクセス』等を使用後に実際にセンター試験の過去問を解いてみて、違和感なく正答を得ることができるのならば、本書は無理に使用することはないが、センター試験は傾向と概要を知るためにも本書を流し読み程度はしておくとよい。

3.進度
 センター試験の過去問演習に入る前に2週間程度で1回ざっとやるとよい。解説で気になった場所は復習しておくこと。



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1-3.記述力の研磨
 上記の勉強を終えた段階で過去問演習に入ればよいが、現代文が得意な難関大学志望者でかつ現代文をさらに伸ばしたい者に、過去問演習に入る前の問題演習のための問題集を紹介する。以下に紹介する問題集は必ずしも使用する必要はなく、他科目の仕上がりが早く現代文に学習時間を割ける者が、さらに成績を伸ばすために使用するようなものである。


 上級現代文T』 ピアソン桐原
 『上級現代文U』 ピアソン桐原

 1.特徴
 難関大学でも合格点が取れるように記述問題に特化した問題集。解説が非常に詳しく、解答の根拠の押さえ方、解答の作り方、そして詳細な採点基準を的確に指示している。現代文の解法を問題演習を通しながら学ぶことができる。
 本書は、記述式を中心に出題する難関大学志望者が、過去問演習に入る前の仕上げの一冊として使用するのに最適な問題集である。『上級現代文T』だけでも十分だが、さらに現代文で得点差を付けたい者は『上級現代文U』まで使用するとよい。

2.補足
 『現代文と格闘する』と『得点奪取 現代文』を終えた段階で使用することをすすめる。
 他科目の勉強時間を削ってまで本書を使用する必要はない。あくまで、難関大学を志望する現代文が得意な者が、過去問演習に入る前の仕上げの1冊として使用するべき問題集である。

3.進度
 各自の勉強進度に応じて適宜使用してもらたい。ただし、本書の使用開始時期が11月に入ってからの場合、本書の内容を習得することができない可能性が高いので、他の参考書や問題集の復習を行った方がよい。



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1-4.単語・漢字の補強
 以上が現代文の勉強方法の基本的な流れである。最後に補足として現代文の重要語句、漢字問題、そして小説問題について述べる。現代文を読む際に頻出の重要語句の知識が欠如していると読解が上手く進みにくくなる。また、漢字の書き取りも絶対に落とせない問題である。したがって、日頃からの読書量の不足や教養不足の者に対しては下記に紹介する参考書を使用して基礎知識を補っておくことが重要となる。
 また、小説問題に関しての読み物として1冊紹介するので、上の勉強方法によって現代文の勉強をある程度進めた段階で、問題を解くというよりも「小説問題はこんな風にできているのか」という軽い感じで気分転換に読んでみるとよい。


 ■『ことばはちからダ!現代文キーワード―入試現代文最重要キーワード20』 河合出版

1.特徴 2.補足 3.進度
 現代文の読解に必要な重要語句等を分かりやすく解説し、必要な背景知識を学習することができる。
 現代文は日本語なのだから特段勉強しなくても読めると考えるものもいるだろうが、大抵の者はそれでは文章を正しく読めない。重要語句は文章中に説明なく使用されることが多く、その意味が分からなければ正確な文章読解は不可能だ。こうした重要語句は日頃から本や新聞を読み、辞書を引く等して身に着けられるものだが、入試に絞った場合に余り効率のよい方法ではない。したがって、本書を使用することで最低限の重要語句を学習することをすすめる。
 とはいえ、現代文の重要語句は英単語や古文単語の暗記程に完璧さは求められないので、英単語等のように何度も繰り返す必要はない、ちょっとした時間や息抜きのつもりでコツコツ読み進めていくとよい。


 ■『秘伝の頻出漢字―入試精選1375題』 河合出版

1.特徴 2.補足 3.進度
 高校受験、定期試験等は当たり前として、日頃から真面目に勉強して来た日本人には余り必要性を感じないだろう。しかし、模試や定期試験等で毎度漢字問題を間違えてしまう者は、素直に漢字の勉強を小学生に戻ったつもりでやり直すことを強くすすめる。
 入試でも配点は低いが、その1、2点を落としているようでは、せっかく他で高得点をとっても相殺されてしまう。というより、日本人なのだから漢字位書けなければ恥かしいと思って、苦手な者は面倒臭がらず漢字の勉強をするようにしてほしい。


 ■『大学受験のための小説講義』 筑摩書房

1.特徴 2.補足 3.進度
 本書は、参考書や問題集でなく新書であるが、内容は大学受験・センター試験の小説問題を題材に入試の小説について述べている。新書なので時間もかからず読めるのでおすすめだ。これを読んだからといって小説問題が解けるようになるわけではないが、問題作成の裏側や読み方について示唆するものは多い。現代文の学習が進み、小説問題についても関心の範囲を広げるときに役立つはずだ。
 ちなみに、同出版社から出ている姉妹本の『教養としての大学受験国語(ちくま新書)』も中々面白いので時間に余裕があるならば、気晴らしに読んでみるとよい。

 以上で、現代文の勉強方法についての解説を終える。

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