受験勉強法学 Examics

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■数学の勉強法

5.センター数学の勉強方法

 ここでは、センター試験の数学の勉強方法について解説する。勉強する範囲は、数学TA・UBを想定しているが、各自で必要なものだけを選択してくれるので構わない。
 なお、二次試験でも数学が必要なものについては、センター試験対策は直前期にその形式に慣れるだけで十分と考えられるので、理系ならば2.理系数学の勉強方法を、3.文系数学の勉強方法を各自参照してほしい。なお初学者については1.数学の勉強法総論2-1.基礎的事項の理解から開始を読んだ後に、当節を読んでもらいたい。
 また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。

 ということで、当節では、センター試験でのみ数学を利用する者を中心に勉強法を解説する。なお、二次試験で数学を利用して、そこそこの得点は出せるのに、センター試験になると記述式に比べて得点が落ちるといった者についても参考になるものであるので、そのような者も一読する価値はあるはずだ。

 5-1.センター試験数学の特殊性と基礎力の必要性
 5-2.センター試験数学の勉強方法総論
 5-3.基礎的な数学の学力の養成
 5-4.センター試験数学への対応


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5-1.センター試験数学の特殊性と基礎力の必要性

 センター試験の数学は、問題を二次試験のように一から全て自分で解ける必要はなく、誘導に上手くのって素早く処理していることが求められる。一から自分で考えなくてよいとはいえ、数学の知識は教科書レベルは求められるし、解法もある程度使いこなせるようになっている必要がある。したがって、当然ながら、センター数学で高得点をとるためには、ある程度勉強しなければならない。
 まずセンター試験の特殊性と基礎学力の必要性について確認したい。

A.センター試験の特殊性

 注意しなければならないのは、センター試験数学は他の教科に比べてセンター試験による特殊性が強いことだ。他教科ではしっかりと基礎を固めてセンター対策を行えば、高得点を安定してとれるようになるが、通常の論証を行いながら解く方法で行うと、数学は試験時間に対して明らかに問題処理の量が多く、時間切れになりやすい。通常の論証を行いながら解くとは、いわゆる二次試験の要領で数学を解くものと考えてもよい。つまり、センター試験は問題文を読んで最初から論証していくような、真っ当な数学的な思考方法で馬鹿正直に解くと時間内に解き終わることが難しいことが分かる。が許されないことになる。無論、それでも時間内に解き終えられる程、数学力があるのならばこの限りではないが、そのような者はセンター数学の勉強の仕方を探しはしないだろう。


B.基礎的事項の理解と解法暗記の必要性

 ここまでセンター試験における数学の特殊性を述べると、センター試験の数学に特化して乗切ろうと考える者が出てくる。知っていると便利な解法や、困ったときの代入等といったものは、センター試験数学をより速く処理する上で確かに有益なのだが、それだけではやはり高得点はとれない。そうしたテクニックは基礎的な数学の学力があってこそ有効に働く。

 したがって、センター試験の数学のみで用いる場合でも、教科書の公式や典型問題の解法は暗記して自分で利用できるようになっておかなければならない。となるとセンター試験のみで数学を利用する場合にも典型問題の解法暗記の勉強は行っておく必要がある。特に、センター試験は、二次試験のように出題分野は偏らずに、満遍なく出題するため、典型問題の解法暗記は重要となる。これは二次試験の数学の対策を過去問演習中心で回している者は注意しなければならない点だ。


 以上から、センター試験数学で高得点をとるためには、基礎的な数学力をしっかりと身につけて、その上でセンター試験に特有の誘導に上手くのって、問題を素早く処理していかなければならないことが分かる。


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5-2.センター試験数学の勉強方法総論

 センター試験数学で高得点をとるためには、基礎的な数学の学力をつけることと、純粋な数学の学力とはやや質が異なる誘導に上手くのる技術を身に付けることの2つの対策を行う必要がある。まずセンター試験数学が特殊であるとはいえ、教科として数学であるからには、数学の基礎学力を養成することが重要となる。それができてからセンター試験特有の形式で素早く処理する方法を身に付ける。この2段階に分けて学習を進める。

 2-1.基礎的事項の理解から開始を読んでもらいたい。でも示しているが改めて述べると、ここでは基礎的な数学の学力の養成は、具体的な学習として次の2段階に分けられる。
 A.基礎的事項の理解:教科書の定理等の証明ができるか、概念が理解できているか等。
 B.典型問題の解法暗記:典型問題の解法を知らっているか、覚えているか等。
 この2つの段階の内、A.基礎的事項の理解は学校の授業を真面目に聞いていれば、条件を満たしていると考えられる。したがって、ここではB.典型的問題の解法暗記の学習から始める。仮に学校の授業を疎かにしていた等で、基礎的事項の理解が不十分な場合は、典型問題の解法暗記と並行して学習を進めてもらいたい。

 基礎的な数学の学力がついた後は、センター数学の誘導にのって素早く問題を処理するという特殊性に適応できる演習を行う。

 C.センター数学への適応:暗記した典型問題の解法を適用するとともに誘導に上手くのる。


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5-3.基礎的な数学の学力の養成

A.基礎的事項の理解

 数学で点を取るためには、教科書に掲載されている基本的な定理・公式を当然に理解していなければならない。こうした基礎的な知識は、『黄チャート』等の基本事項にも簡潔にまとめられ証明もついている。これを読んで理解して導き出せるならよいが、初学者や数学に苦手意識がある者には厳しいものがある。したがって、そういう者は、土日に次の週に解く予定の分野の基本事項を理解するために、『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』を用いて学習する。

 『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』の使用目的は基本的事項の理解のためだ。定理や概念を理解して、解法暗記の前提となる知識を身に付けることが目的である。数学を得意科目とできるか否かは、こうした基礎がしっかりと身に付いているかどうかが大きいので、この勉強を疎かにしては解法暗記をしても効果は薄い。したがって、基礎と侮ることなく、しっかりと学習するようにしなければならない。
 章立てが『黄チャート』と異なるが、『黄チャート』で解く予定の単元を確認して、該当する単元の解説を『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』で読み、練習問題を解くように学習を進める。



B.典型問題の解法暗記(4月〜6月・7〜8月)

 理解ができたら、問題の特徴から分析して暗記した解法を問題に適用して解けるようになるために、問題演習兼解法暗記を行う。この段階は、センター試験対策よりも数学の学力を養成することが目的であるから、必ず自分で計算と論証を行うようにしてもらいたい。それなしに解法の型だけ暗記しようとしても、いい加減な学習になり、後のセンター試験への対応で躓くことになるので注意してもらいたい。

 先ずは『黄チャート』の例題のみでいよいので解法暗記を行う。解いた例題については翌日と翌週に紙に書き出さなくてよいので、「問題の特徴」から解法とその流れが答えれるか確認しながら復習する。解けなっかたり、復習時に答えられなかった例題にはチェックを付けておく。

 このようにして数学TA・UBを各1カ月から1カ月半位で1周し、合計3カ月で7月までに解法暗記の1周目を終える。

 次に、解法暗記に漏れがないか確認するため、再度1から『黄チャート』の例題を計算や論証も行いながら解く。この時に、解けなかった例題は解法暗記の漏れとなるので、チェックを入れて入念に覚える。チェックが2つ入った問題は、穴になりやすいので、以後の勉強の際も適宜復習するようにする。
 この段階では、時間的に余裕があるならば練習問題も解くとよい。

 数学TA・UBの解法暗記の復習を2カ月で、9月半までに終える。これで数学の基礎的事項の理解と解法暗記が一通り終えられる。


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5-4.センター試験数学への対応

A.センター試験数学のための解法(9〜11月半)

 典型問題の解法を暗記して、センター試験の数学を解こうとしても、時間切れに終わることになる。そこで、センター試験数学特有の誘導に乗りつつ素早く処理する方法を身に付ける。

 センター試験の数学の形式に慣れる演習とセンター試験において便利な解法を仕入れることが重要となる。通常の数学では正しく論証しなければ得点できないが、マーク式のセンター試験では、そういう過程を飛ばして、答えさえ合っていればよいことになる。そこで知っていると便利な解法を仕入れていく。
 このときに役に立つのが『センター試験 数学の点数が面白いほどとれる本』だ。これを参照しながら、センター形式と解法を補強してもらいたい。本書と『黄チャート』で身に付けた典型問題の解法とで、センター試験数学で高得点をとるための下地はできる。
 
 これを終えたらセンター試験の過去問を用いて問題演習をしていけばよい。



B.センター試験数学の特殊性への対応(11月半〜1月半)

 センター試験数学で試験時間内に問題を解き終えられるか否かは、純粋に数学力だけでなく、誘導に上手く乗れるか否かが重要となる。そこでセンター試験の形式を解き慣れる必要がある。次のことに注意して問題演習を行ってもらいたい。


 今まで散々誘導に乗ると述べてきたが、その誘導に乗ることについて考えてみたい。なお誘導とは問題文とその過程に現れる空欄にされている答えの形である。

 最初に、改めてセンター試験の数学と通常の記述式の数学の違いを確認しておく。

 記述問題では、問題文から試行錯誤を繰り返して答えの道筋を自分で見つけ出さなければならないが、センター試験は誘導によって答えの導く過程を示しており、試行錯誤の量を軽減させている。したがって、本来は全て自分で考えなければならない1つ1つの過程は、誘導に乗って答えだけを求めればよいことになる。言うまでもないが、誘導に乗りつつも、求める答えの1つ1つは、典型問題を解く位の学力が求められる。

 また記述問題は答えの過程もしっかりとした論理で論証する必要があるが、センター試験ではマーク式であるから、そのような数学的な厳密さもいらない。したがって、答えを正確に論証するようなつもりで問題を考えたり、下手に自分で考えて不要な値を求めていたりすると、確実に時間が不足することになる。何故このような式変形をしているのか、この値を求めるのかといった疑問は脇に置いて誘導に乗って解き進めることが重要だ。

 このように、数学ができる者にとっては、センター試験では誘導に乗りつつその不足している場所を埋めていくだけという簡単な作業になる。しかし、誘導はついているものの問題量の割に時間を短く制限して自分で全て考える余裕を削っているので、二次試験と同じ要領で、自分の頭で一から十まで考えてしまう癖がついていると、時間が足りなくなる。誘導、すなわち作問者の思考の流れにいかに乗り、必要な箇所だけを的確に処理していくかということを心掛けていないと足元をすくわれる危険がある。
 とはいえ、式の変形や値を求める1つ1つの問題は、簡単なものになっている。たとえ数学が得意ではなくとも、典型問題が解けるようになっており、誘導に乗ることができれば8、9割の高得点をとることは難しくない。


 まず本番を想定して時間を制限して問題を解く。このとき今までの学習や記述問題のように自分で丁寧に論証等をしなくてもよい。とにかく時間内に解き終えられるように、誘導に上手く乗りながら問題を処理していく。

 より具体的には、まず、大問、小問が一区切りするまで読み進めて、何を求めるのかを確認する。
 何を求めればよいのかを意識しながら、誘導に乗りながら与えられる条件のままに解き進めていく。単純な計算で答えが求まる場合もあるが、誘導が典型問題の解法を適用する手掛かりとなっている。

 このとき、何故そのような計算をしなければならないのか疑問に思うところがあっても、とりあえず解法暗記で身に付けたことを当てはめて解き進めて行く。何故と考えて止まると時間がなくなってしまうので、とりあえず問題に示される通りに解いていくのがよい。典型問題がスラスラと解けるようになっておかないと、この段階で時間を浪費してしまう。
 この何故と考えないことに関連して、センター試験は記述試験ではないので、丁寧に論証する必要はない。空欄を埋めることを目指して、その答えの形になるように目指して計算していく。逆に言えば、答えの形が手掛かりになることもしばしばあるので、どうすればその形になるのかと考えてみるのもよい。
 そして、何故このような計算や式変形をさせるのかという疑問への答えは、大問を解き終えた時に分かることが多い。
 
 制限時間が過ぎたら、解き終えてない問題については、時間をかけて解き直す。それでも解法が思いつかなければ、問題を解くのを終了する。

 次に、解答・解説を読む。問題を解く時はとにかく時間内に答えを出すことに専念していたが、ここでは通常の数学の学習のように、考え方や解法も必ず確かめておく。正解した問題についても解法の流れを確認して、自分の解き方よりも速いものならばしっかりと使えるように復習をする。
 時間をかければ解けた問題については、誘導を手掛かりとして、どのように分析すれば時間内に解けるように、典型問題の解法に落とし込めたのかを確認する。このとき、典型問題の解法暗記の理解が欠けている場合が多いので、『黄チャート』や戻ってしっかりと解法の理解を行うようにする。
 解けなかった問題については、解答・解説を読むと使うべき解法が理解でき知っており気付けば解けたものと、そもそもその解法を知らないというものがあるはずだ。前者の場合は、解法暗記の理解が疎かになっているので、知っていたのにで終わらせず、『黄チャート』に戻って解法暗記の理解を行っておく。後者の場合は、解法暗記自体ができていないので、『黄チャート』に戻って解法暗記をしっかりと行う。
 なお解答・解説以外にも『センター試験 数学の点数が面白いほどとれる本』で仕入れた便利な解法も使えないかを確認して処理時間の短縮をはかる。

 センター試験数学は、一問一問の設問は典型問題で解けるので、いかに誘導に乗って素早く処理できるかが重要となる。センター試験数学の点数が低迷する者は、まず理解を伴った解法暗記ができているのか、それを誘導から適用すべき解法を選択するのに時間がかかっているのかを確認しながら勉強を進めてもらいたい。


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