受験勉強法学 Examics

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■数学の勉強法

1.数学の勉強法総論

 数学を勉強する上での基本的な指針を示す。数学を勉強する際の方法や注意点を説明するので、数学が苦手な者は特に熟読して漫然と勉強をすることのないようにしてもらいたい。ここで述べたことを前提にして、理系と文系でそれぞれどのような計画で数学を勉強すればよいかを理系・文系数学の勉強方法でそれぞれ述べている。

 そもそも数学が苦手な者は、どんな問題も最初から発想力が必要だと勘違いしている場合が多い。教科書の定理等を初見で解けないから自分は数学ができないと考えるのは間違いである。数学が得意な者も、意識的にしろ無意識にしろ、典型問題の解法を覚えており、この問題はこう解くという解法のパターンを暗記しているのである。解法を知っていれば解けるという問題については、解法を覚えなければならない。そこには数学的な才能やセンスといったものは余り関係ない。解法暗記を行わないことは、英語で例えるならば、構文を知らないのに英文解釈を行おうとしているようなものである。小さい頃から英語に触れて来ておりネイティブ並の英語力があれば無意識に可能だろうが、普通の日本人にはできない。数学も同様に、典型問題については解法を暗記しておくことが必要である。

 この解法暗記が一通りできた段階で、数学的思考力や才能が問われる問題を解く練習が必要となる。問題を分析して暗記した解法を適用する。大学受験における数学の勉強を説明する本節では、これを「数学的思考力」とする。数学的思考力は、数学が得意、不得意でかなり差が出るが、しっかりと練習を行えば、数学で0に近い点となるようなことはない。問題を解く際に、自分の知っている解法をどのように適用するべきかという思考力を問題演習を通じて磨いていけばよい。英語で例えるならば、英文の中で幾つか組み合わされている構文を丁寧に読み取り当てはめて英文解釈する練習である。

 以上のように、数学は、大きく「解法暗記」と「数学的思考力」の2つの系統の勉強を行うことが重要となってくる。「解法暗記」をしっかりと行った後に、「数学的思考力」を磨く問題演習を行うように勉強してもらいたい。以下では、具体的に「解法暗記」と「数学的思考力」を磨く問題演習をどのように勉強していけばよいか説明する。


 最初に、次のように大きく3つに分けた場合、自己の学習がどこまで進んでいるかを分析してもらいたい。

 A.基礎的事項の理解:教科書に掲載されている定理等の証明ができるか、概念が理解できているか等。
 B.典型問題の解法暗記:典型問題の解法を知らっているか、覚えているか等。
 C.応用問題への解法適用:暗記した典型問題の解法を適用することができるか等。

 A.基礎的事項の理解ができていない者は、数学ができないのは当然なので、この勉強から始めることとなる。初歩に戻って教科書の基本的な概念を理解しなければならない。該当基準としては、学校の授業についていけてない、定期試験のために概念等を理解せずにただ丸暗記しているだけ、数学を苦手として模試の偏差値も50に満たない等である。

 B.典型問題の解法暗記ができていない者は、数学的思考力以前の段階の解法を知らなければ解けないという状態であるから、解法のパターンを多く蓄積することが必要となる。上述した「解法暗記」の学習である。数学に苦手意識を持つ者の半分はこの段階が疎かになっていることが多い。該当基準としては、教科書の基本的な事項は理解しているのに多くの問題が解けない等である。典型問題につていは解法を知っていなければ普通は解けない。

 C.応用問題への解法適用ができていない者は、典型問題の解法を一通り覚えているが、視点や切り口を変えられた問題に対処できない状態である。問題演習を通じて、暗記した解法を適用することができるような思考力を磨くことが必要である。該当基準としては、『青チャート』や『1対1対応の演習』で典型問題の解法暗記ができていることである。

 では、具体的な数学の勉強法について説明する。次のような構成となっており、各段階で使用する参考書を紹介する。

  1-1.基礎的事項の理解
  1-2.典型問題の解法暗記
  1-3.数学的思考力を磨く問題演習


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1-1.基礎的事項の理解
 数学で点を取るためには、教科書に掲載されている基本的な定理・公式を当然に理解していなければならない。こうした基礎的な知識は、『青チャート』等の基本事項にも簡潔にまとめられ証明もついており学習できる。これを読んで理解して導き出せるならよいが、初学者や数学に苦手意識を持つ者には厳しいものがある。したがって、そういう者は、土日に次の週に解く予定の分野の基本事項を理解するために、『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』を用いて学習する。

 『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』の使用目的は基本的事項の理解のためだ。定理や概念を理解して、解法暗記の前提となる知識を身に付けることが目的である。数学を得意科目とできるか否かは、こうした基礎がしっかりと身に付いているかどうかが大きいので、この勉強を疎かにしては解法暗記をしても効果は薄い。したがって、基礎と侮ることなくしっかりと学習しなければならない。
 本書は章立てが『青チャート』と異なるが、『青チャート』で解く予定の単元を確認して、該当する単元の解説を『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』で読み、練習問題を解くように学習を進める。

 高校3年生の段階でこの勉強から開始しなければならない者は、時間的にかなり厳しいということだけは自覚しておいてもらいたい。数学が全くできなかったが1年で東京大学や京都大学に受かったみたいな体験記も散見されるが、それは死にもの狂いで勉強した場合に限ることに注意してもらいたい。余程の天才でない限り、数学は受験で足を引っ張る科目となるだろう。そうした1年で数学を完成させた者が確かにいる裏側で、数学が1年で完成せずに、散る者がその倍以上いることも事実である。そのことをしっかりと心に留めて、真摯に集中して数学に取組んでもらいたい。


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1-2.典型問題の解法暗記
 「解法暗記」は、典型問題の解法を覚えており、この問題はこう解くという解法のパターンを暗記することだが、「問題の特徴」と「論理」に注意して行うことを心掛ける必要がある。
 社会科の様に語句と定義を漠然と暗記しているだけでは、数学の「解法暗記」を行ったことにならない。ただ問題文を読み解答の流れをそのまま覚えるだけでは、その膨大な量に挫折する上に応用力が付かない。
 付け加えるならば、そうした学習をしているからこそ、『青チャート』のような解法網羅系の問題集を使用しても数学が苦手でできないという状態であることが多い。漠然と問題を見て解答を覚えているだけでは、酷似した問題しか解けず、少し問題文の表現を変えたり、融合問題を出題された時、対応できなくなる。
 したがって、「問題の特徴」と「論理」に注意した「解法暗記」について詳しく検討したい。

 解法を暗記する際は、問題文から何の公式や解法を使うべきかを先ず読み取ることを意識しなければならない。問題文を読んで、『青チャート』に示される「指針」まで自分で読み解くことができるようになることである。自分の中で、「問題の特徴」から何を答えとして求められており、どの解法を適用するかを捉えて解法を暗記する。つまり、「問題の特徴」から解法の適用を決めることを覚えるようにすることを心掛ける。「解法の暗記」とは、これをを含めて解法の暗記である。

 問題文から適用する解法を決めた後の、実際に解法を適用して問題を解いていく流れも、何故そのように変数を置くのか、式変形をするのか等を考えながら「論理」を暗記するようにする。漠然と解法とその流れを暗記しても、おそらく全てを暗記することはできずに、似たような問題すら解けないことになる。「論理」は、数学の鍵であり、解法暗記を進めていく内に、似たような「論理」を幾度となく解答作成中に使うことに気付いていくはずだ。

 以上のような「問題の特徴」と「論理」を意識して、問題を解けなっかたという結果だけでなく、問題・解答のどこで自分が躓き解けなかったのかを明らかにしながら解法を暗記するように心掛けて勉強する。

 「解法暗記」に使用する問題集は、網羅系とよばれる典型問題を多く厚めたものだ。一般的に『青チャート』が有名で例題数も相当数あるが、これを「問題の特徴」と「論理」に注意しながら覚えていく必要がある。


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1-3.数学的思考力を磨く問題演習
 解法を暗記した後の問題演習につての説明をする。「解法暗記」をすれば基本的な典型問題は解けるようになっている。しかし、数学の入試、特に難関大学の入試における数学は、発想力が必要になったり、典型問題を改変したり、複数の単元にまたがった融合問題が出題される。こうした応用問題に対応できるように問題演習を行う必要がある。ここで重要となるのが冒頭に述べた「数学的思考力」だ。

 問題を分析して暗記した解法を適用する「数学的思考力」は、「解法暗記」で述べた「問題の特徴」と「論理」を活用して、一見すると見たこともないような問題に対して、どれとどれの解法をどのように組み合わせると解けるのかを考える力である
 確かに応用問題の中には数学的センスが試されて発想力が必要になるような難問もある。しかし、そうした問題については、多くの受験生は試験時間内に解くことができず、差が余りつかない。問題演習をこなしていれば解答可能な問題を確実に解ける学力を付けることが重要となる。
 こうした問題は暗記した解法をそのまま適用して解けるようになってないが、問題の見方を変えたり、解法を組み合わせることで解くことができるように作成されている。したがって、暗記した解法を実践的に運用できるように問題演習を行うことが重要となってくる。

 この学習を始めた時に、最初は応用問題を解くことができないだろう。そこで、問題演習の際の注意点を述べる。
 問題演習をする際は、解法暗記の時とは異なり、自分の頭で考えることが一層重要となってくる。すぐに解答・解説を見るのではなく、最低でも10〜15分、問題によってはそれ以上の時間をかけて、何かしらの解法がどうにか適用できないかを試行錯誤し、色々な視点から問題を考えなければならない。
 また、解法を一つ適応した後、また違う解法を適用する等の何段階か手順を踏む問題もある。問題を解きながら、手詰まりになった時には、そこから違う視点から問題を考えることも必要になってくる。

 問題を解く上での姿勢から、問題を自分の頭で考えて解いた後、特に解けなかった後、解答・解説をどういった観点に注意しながら読まなければならないかが導き出される。
 先ず、問題をどのように解けばよいのかの最初の取り掛かりすら掴めなかった場合は、問題をどのような視点を以て分析すればよかったのかに注意しなければならない。応用問題を解けるようになるには、この最初の視点を自分で見つけ出せるかが第一の課題となる。「問題の特徴」を分析して、どの解法を適用するかを解答・解説から学習する。この最初の発想ができることようになると、解くことのできる応用問題も多い。
 次に、最初の取り掛かり方は合っていたが途中で解けなくなったという問題がある。この場合は、問題の途中で考え方を転換して、別の解法を適用する問題に切り替わったとして、別の解法をそこから適用することが求められている。この点に注意して考え方の修正や視点を解答・解説から学習する。
 これらの点に注意しながら、暗記した解法を問題に適用できるような思考力を身に付けることを意識して解答・解説を読む。問題演習は、ただ解いて終わりでなく、解けなかった問題についてこのような思考力を獲得するために行う。これができるか否かが、難関大学の入試で数学を合格点以上を取ることができるかを決める。勿論、問題演習中に、暗記した解法を忘れていたりして使えなかった場合は、当該分野の解法暗記を再度行う必要がある。

 以上のような点に注意して問題演習を行ってもらいたい。その際、解答の第1文を読むことでそこから自力で一気に解き進めることができるようになることは多々あるので、解けなかった場合も、解答の第1文のみを読んで再度考えてみるのも勉強方法の一つである。また、応用問題にも典型問題はあるので、それらは、解法暗記と同様に、解法の流れを覚えておかなければならない。


 ここまでで、「解法暗記」と「数学的思考力」を磨く問題演習を行う際の注意点等を述べた。数学を勉強する場合は、常にこのことに注意しながら勉強を進めてもらいたい。ちなみに、「解法暗記」について詳しくその方法論を述べている本として和田秀樹氏の『数学は暗記だ!受かる青チャートの使い方』があるので一読するとよいだろう。また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。
受験勉強以前に全教科に通じる論理的思考を学びたい者は、LAAD(外部サイト[詳細説明])で学ぶことを強く奨める。

 それでは理系と文系の各々の数学学習の詳細について述べていくので、以下から自分の進路に合せた項目を選択してもらいたい。

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