受験勉強法学 Examics

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■数学の勉強法

4.数学の参考書

 ここでは、理系数学文系数学の勉強方法で紹介した参考書の詳細を示す。1.数学の勉強法総論で述べていることに注意して各計画に沿って、ここで紹介する参考書で勉強してもらいたい。また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。

 構成は以下のような勉強の各段階ごとにまとめているので、適宜参考にしてもらいたい。

 4-1.基礎的事項の理解
 4-2.典型問題の解法暗記
 4-3.問題演習:「数学的思考力」の養成・強化
 4-4.問題演習:難問への取組み
 4-5.センター試験対策


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4-1.基礎的事項の理解
 基礎的事項の理解、つまり教科書の基礎的な内容の理解のための参考書を紹介する。解法暗記に入る以前の段階で使用するもので、初学者や極度に数学が苦手な者はここで紹介する参考書を使用して基礎中の基礎を固めることを目指した勉強を行う。


 スバラシク面白いと評判の初めから始める数学I』 マセマ出版社
  『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学A』 マセマ出版社
  『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学II』 マセマ出版社
  『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学B』 マセマ出版社
  『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学III(Part1)』 マセマ出版社
  『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学III(Part2)』 マセマ出版社

1.特徴
 本書は、数学T・A・U・Bは1冊ずつ、VはPart1・2に分けられて、全6冊の構成となっている。教科書の基礎的な内容を1から丁寧に解説している。定理の証明から何故このような式変形をするか等まで初歩から説明しており、学校の授業がなくとも数学を1から勉強できるようになっている。
 授業進度を無視して独学で数学を進めていく場合や、授業についていけない場合に、本書を使用すれば、数学を自分のペースで勉強できる。
 理系の場合は、数学TA・UB・Vの全6冊を、文系の場合は、数学TA・UBの4冊を使用すればよい。

2.補足
 高校1・2年生から数学を勉強するにあたって、未習範囲を自分で進めていく場合に本書を用いることをすすめる。ただし、教科書を読んだり、『青チャート』のまとめを読むだけで公式や低利の成り立ちを理解できるのなら、本書を使用する必要は特段ない。
 受験生になってから数学を1から勉強する際は、もう授業も基礎からはやらないことがほとんどだろうから、本書で独習することをすすめる。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。




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4-2.典型問題の解法暗記
 教科書の基礎的事項の理解ができており、「解法暗記」を行う際の参考書を紹介する。基本的には『青チャート』を使用するが、各自の学力によっては、勉強方法で紹介した通り『黄チャート』や『1対1対応の演習』を用いるようにする。
 「解法暗記」は、数学の応用問題を解くための基礎となるので、必ず入念に勉強するようにしてもらいたい。


 チャート式基礎からの数学TA』 数研出版
  『チャート式基礎からの数学UB』 数研出版
  『チャート式基礎からの数学V』 数研出版

1.特徴
 通称『青チャート』の本書は、数学TA・UB・Vと分けて全3冊あるが、教科書の基礎的な内容から難関大学の入試レベルの典型問題の解法を網羅している問題集。各単元の最初には基本事項がまとめられており、例題で典型問題の解法を学習して、練習問題で例題で学んだ解法を演習できるようになっている。
 典型問題の解法を暗記を漏れなく行うことができる。本書の解法を全て覚えれば、東京大学や京都大学の最難関大学の数学を解くための基礎的な解法は習得でき、後は「数学的思考力」の養成だけの段階になる。本書を中心に勉強する「解法暗記」の時期を終えても、忘れた解法がないように定期的に復習することをすすめる。
 理系の場合は数学TA・UB・Vの全3冊を、文系の場合は数学TA・UBの2冊を使用すればよい。

2.補足
 高校1・2年生の早い時期から数学を勉強する場合には、例題だけでなく練習問題も解き、より解法の定着を図ることをすすめる。
 受験生になってから本書を使用する場合は、量がかなり多いので例題だけを用いて「解法暗記」を行うようにする。また、受験生の段階で教科書の知識も持ち合わせてない場合は、本書の問題が典型問題とはいえ難しく感じることが多く、勉強時間が足りなくなる可能性が高い。そのような場合は、本書に代わって『黄チャート』の使用をすすめる。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。



 大学への数学 1対1対応の演習 数学T』 東京出版
  『大学への数学 1対1対応の演習 数学A』 東京出版
  『大学への数学 1対1対応の演習 数学U』 東京出版
  『大学への数学 1対1対応の演習 数学B』 東京出版
  『大学への数学 1対1対応の演習 数学V 微積分編』 東京出版
  『大学への数学 1対1対応の演習 数学V 曲線・複素数編』 東京出版

1.特徴
 本書は、例題は「解法暗記」に適した比較的簡単な問題で、演習問題は入試実践レベルの発展的な問題で構成されている。例題数だけで比べた場合に、本書は『青チャート』等よりも基礎的な問題が省かれて半分程度に少なくなっている。
 例題で「解法暗記」を行いつつ、演習問題で「数学的思考力」を養うように本書を使用することで、網羅性は低いが『青チャート』等より早く完成させることができ、中堅大学の数学で合格点をとる学力が身に付く。また、難関大学の問題にも対応できる基礎力を養うことができる。

2.補足
 受験生になって使用する場合は、学校の授業に真面目に取り組んで配布された問題集を隅々まで解き解法を習得している者が、『青チャート』に代えて網羅性に欠けるも今までの勉強の蓄積や効率を考えて、本書を使用することをすすめる。
 高校1・2年生から『青チャート』をやりこんだ者にとっては、本書は問題演習に繋ぐための「解法暗記」の確認と「数学的思考力」の養成に使用するのに最適である。
 
3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。




 チャート式 解法と演習数学TA』 数研出版
   『チャート式 解法と演習数学UB』 数研出版
   『チャート式 解法と演習 数学V』 数研出版
1.特徴
 通称『黄チャート』の本書は、数学TA・UB・VCと分けて全3冊あるが、教科書の基礎的な内容から入試基礎レベルの典型問題の解法を網羅している問題集だ。
 『青チャート』よりも基礎的な問題が多く収録されおり、より教科書の基礎的な事項から学習ができるという利点がある。一方で、『青チャート』に収録されている発展的な問題が収録されておらず、到達点は低く設定されている。
 各単元の最初には基本事項がまとめられており、例題で典型問題の解法を学習して、練習問題で例題で学んだ解法を演習できるようになっている。
 典型問題の解法を暗記を漏れなく行うことができ、本書の解法を全て覚えれば、入試基礎レベルの数学を解くための基礎的な解法は習得できる。本書を中心に勉強する「解法暗記」の時期を終えても、忘れた解法がないように定期的に復習することをすすめる。
 理系の場合は、数学TA・UB・Vの全3冊を、文系の場合は、数学TA・UBの2冊を使用すればよい。

2.補足
 高校1・2年生の早い時期から数学を勉強する場合には、『青チャート』でなく本書を使用して、『1対1対応の演習』に繋げる方法もある。このときも、例題だけでなく練習問題も解き、より解法の定着を図ることをすすめる。
 受験生になってから本書を使用する場合は、量がかなり多いので例題だけを用いて「解法暗記」を行う。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。




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4-3.問題演習:「数学的思考力」の養成・強化
 「解法暗記」を終えて、「数学的思考力」を養う段階で使用する参考書を紹介する。各々が目指す大学のレベルに合わせて演習を積むことで、入試での実践的な学力を養成することを目指す。融合問題や応用問題を如何に解くかということに重点が置かれる。したがって、問題集の難易度も上がり、単純に暗記することにならないように気を付けてしようしてほしい。

 ■
理系数学の良問プラチカ 数学I・A・II・B』 河合出版
  『理系数学の良問プラチカ 数学III』 河合出版
  『文系数学の良問プラチカ 数学I・A・II・B』 河合出版

1.特徴
 入試で出題される問題を精選して収録した問題集。解説は非常に簡潔なものとなっているが、解答は正攻法で「解法暗記」したことを適用して解く練習に適している。「解法暗記」が終了した段階で、「数学的思考力」を養うための問題演習として使用しやすい。
 収録されている問題は、基本的なものからやや難しめのものまで、分野も幅広く網羅するようになっている。典型的な応用問題も多くあるので、「数学的思考力」を養いながら解法を覚えていけば、入試の実践的な学力が養成できるようになっている。

2.補足
 『理系数学の良問プラチカ』においては、数学T・A、U・Bに比べて数学Vは若干難しい。しかし、理系で数学を受けるのであれば、是非とも解けるようになってもらいたいレベルのものだ。
 中堅大学医学部を目指す場合は、本書と『1対1対応の演習』の演習問題が実際に入試で出題されるレベルなので、よく復習して完璧に解けるようになっておくとよい。
 『文系数学の良問プラチカ数学T・A、U・B』においては、文系数学の入試問題については難関大学の基本的な問題を一応解くことができるくらいの到達度を目指した内容になっている。
 以上から、理系は『理系数学の良問プラチカ』を、文系は『文系数学の良問プラチカ』を解くようにすればよい。


3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。



 
やさしい理系数学 三訂版』 河合出版

1.特徴
 書名とは裏腹に難しい問題で構成されており、難関大学や医学部に合格を目指す者が、難問に対応するための演習を積むのに適した問題集。難関大学や中堅大学医学部を目指す者にとっては、問題演習の仕上げの一冊となるだろう。
 難問に分類される中では典型的な問題も収録されているので、全てとまでは言わないが、解法暗記と同様に覚えていくつもりで解答を読んでもらいたい。また、別解で自分の知らない、思いつかない解法は、問題を見る視点を広げるのに役立つので、読み流すのでなく咀嚼しながら読んでもらいたい。

2.補足
 本書を完璧に仕上げれば、東京大学の問題も半分程は解ける位の学力となる。それ故に、本書が難し過ぎて手も足も出ない場合には、更に具体的に言うならば、例題や演習問題の簡単な問題で躓く場合には、『理系数学の良問プラチカ』に戻るか『解説がスバラシク親切な頻出レベル文系・理系数学I・A,II・B』を挟む等してもらいたい。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。


 スバラシクよく解けると評判の合格!数学IA 実力UP!問題集』 マセマ出版社
  『スバラシクよく解けると評判の合格!数学IIB 実力UP!問題集』 マセマ出版社
  『スバラシクよく解けると評判の合格!数学III 実力UP!問題集』 マセマ出版社

1.特徴
 詳しい解説を講義形式で行う問題集。『黄チャート』で「解法暗記」を行っいれば、本書は比較的簡単に解くことができるだろう。『良問プラチカ』で「数学的思考力」を磨く問題演習を行うことが困難な者が問題演習を行う場合に役に立つ。解説が詳しいために、問題が解けないとすぐ答えを見て分かった気になる可能性もあるが、あくまでどのような発想や手順を用いればよいのかということを本書から学ぶように努めたい。

2.補足
 到達レベルは中堅大学の入試数学で合格点を獲得する位なので、中堅大学を受ける数学が苦手な者のみが使用すればよい。難関大学を志望する場合には、本書ではなく、少々難しくとも『良問プラチカ』の使用をすすめる。それでも『良問プラチカ』が難しい場合には、本書を一度解いてから『良問プラチカ』に移るという方法もある。ただし、その場合は、他科目を考慮しながら数学の勉強時間を確保することに注意してもらいたい。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。




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4-4.問題演習:難問への取組み
 4-3.問題演習:「数学的思考力」の養成・強化をしっかりとこなした後に過去問演習を行えば、大抵の大学入試において数学で合格点をとることができるようになる。しかし、難関大学で確実に合格点をとり更には他受験生と差を付ける得点を確保する場合、または医学部を志望するために数学で高得点を取る必要がある場合には、上記の勉強だけでは若干不安が残る。そうした状況にある者は、更に難問を解く学力を養成する必要がある。難問を解く練習を下で紹介する問題集で行う。



 ハイレベル理系数学 三訂版』 河合出版

1.特徴
 本書は最難関級の問題集である。「解法暗記」を組み合わせるだけでは解くことが難しい問題を多く解くことで「数学的思考力」を一層磨くことができる。本書は、数学を得意科目とする者が、過去問演習の前の最後の仕上げの1冊として使用するべきものだ。
 『やさしい理系数学』と同様に別解もあるので、様々な視点から問題を分析でき、思考力の幅を広げることができる。

2.補足
 非常に難しい問題集となっているので、東京大学理科三類や京都大学医学部医学科等の理系最難関を志望する者や、難関大学の数学で高得点や満点を狙いたい者のみに本書の使用をすすめる。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。
 本書を全て解き終えることが開始時期等により難しい場合は、例題を先ず一通り解き、穴となりそうな分野の演習問題を解いたり、伸ばしたい得意分野の演習問題を解く。このようにして、苦手分野の難問を潰すか、得意分野の成績を伸ばすか等を自分で選びながら、本書を使用するようにすればよい。



 解説がスバラシク親切な頻出レベル文系・理系数学I・A,II・B』 マセマ出版社
  『解説がスバラシク親切な頻出レベル理系数学I・A,II・B,III』 マセマ出版社
  『解説がスバラシク親切なハイレベル文系・理系数学I・A,II・B』 マセマ出版社
  『解説がスバラシク親切なハイレベル理系数学I・A,II・B,III』 マセマ出版社

1.特徴
 書名通りの詳しい解説を売りとする問題集。問題数は各書56・57題ずつと少なく網羅性に欠けるが、応用力を問うものや難しい問題が収録されており、そうした難問系の中でも典型的なものを多く扱う良書である。
 文系の者で難関大学を受験する場合は、『頻出レベル文系・理系数学』『ハイレベル文系・理系数学』の両書を解く。この両書で「数学的思考力」を磨きつつ問題演習を重ねて、最終的に「解法暗記」を行ったような状態まで消化できれば、文系の入試数学で合格点以上の点は安定してとれるようになる。

2.補足
 理系の場合、本書のシリーズは、特に使用する必要はない。『やさしい理系数学』や『ハイレベル理系数学』が難しいために詳しい解説を読みながら問題を解く難問演習の導入をしたい場合には本書が最適である。目安としては『頻出レベル』が『やさしい理系数学』と、『ハイレベル』が『ハイレベル理系数学』と難易度が対応している。
 また、本書を使用する場合は、理系の者は『文系・理系数学』も使用する必要がある。『理系数学』だけでは、問題数が余りに少ないことに加えて、内容的に数学TA・UBの分野が不足しがちになるためである。
 
3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。



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4-5.センター試験対策
 「解法暗記」と「数学的思考力」の両方を勉強して来た者は、センター試験の対策を特段せずに過去問を何年分か解き形式に慣れることで、数学で安定して7〜8割は得点でき、中には9割や満点も容易にとれるだろう。
 確かに、誘導が付されているセンター試験は一見簡単に思えるが、センター試験は時間との勝負であるために、二次試験でそこそこ点数を出せる者でも誘導に上手く乗れないと時間切れになることが多々ある。そこで、数学ではセンター試験の対策をしっかりと行っておく必要がある。
 以下で紹介する参考書でセンター試験のパターンや解き方を学習した後に、過去問演習を行い、本番で時間切れとならないように対策を行ってもらいたい。


 ■改訂版 センター試験 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本』 中経出版
  『改訂版 センター試験 数学II・Bの点数が面白いほどとれる本』 中経出版

1.特徴
 センター試験に特化した解法を解説する参考書。『青チャート』や『黄チャート』で「解法暗記」を行った段階で、本書によりセンター試験型の解法を覚えれば、センター試験で時間切れになることも少ないだろう。
 本書は、解法の解説が主で、基本的な事項は最低限に触れている程度である。したがって、「解法暗記」を行った後で使用するようにしなければ、基本的事項の確認が不十分となり片手落ちとなる。難化したときに得点を落とす危険があるので、「解法暗記」はしっかりと勉強しておかなければならない。

2.補足
 「解法暗記」や「数学的思考力」を養うような勉強をずっと行っていると、熟考する癖がついてしまう者がいる。問題と誘導を見てすぐに解法を当てはめていくセンター試験では、熟考する癖は時間を必要以上に浪費してしまう。
 そこで、数学に自信がある者でも、12月頃にはセンター試験の過去問演習を必ず1度行ってみる必要がある。その際に、見直し時間がない程に時間ギリギリであったり、時間が足りない等といった場合には、本書を1度読み解法を知ることをすすめる。

3.進度
 各勉強法に合わせて使用してもらいたい。センター試験対策をいつ頃から始めるかは各人によりけりだが、過去問演習に入る前に2週間程で1度本書を読み終えて、過去問演習を行う。上手く使えない解法等があれば本書で復習すればよい。




 以上で、数学の参考書の紹介を終える。各項で紹介した勉強方法とその進度に従って、数学を苦手な者も得意な者も入試を乗切れるように頑張ってもらいたい。

 数学の勉強方法
1.数学の勉強法総論
2.理系数学の勉強方法
3.文系数学の勉強方法
4.数学の参考書
5.センター試験数学の勉強方法
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