受験勉強法学 Examics

更新:LAAD[説明詳細]

■世界史の勉強法

2.二次・私大世界史の勉強方法

 二次・私大試験で世界史を使用する場合の勉強方法について述べる。センター試験のみ世界史を必要とする場合は当節は過剰な勉強量になるので1.センター世界史の勉強方法の方を閲覧してもらいたい。

 世界史の勉強を開始する前の準備段階として、最初に過去問を研究する事から始める。論述のみ出題される大学、論述が主に出題される大学、客観問題に加えて論述が出題される大学、そして語句等の客観問題のみ出題される大学等、大学によって傾向が様々であり、自分が志望する大学の過去問を研究して、どのような出題がなされているかを先ず確認しなければならない。

 出題される時代に偏りがあるか出題される分野に偏りはあるか(政治史、文化史の他に、経済史、土地制度史等のテーマ史等)、設問形式はどのようなものか(論述が課されるかも含む)を考察する。実際に問題は解かずに赤本や青本等の出題に関する分析を読むので十分ではある。無論、実際に問題を解いてみてもよい。ただいずれにしろ、どのような設問があるのか等は実際に確認しておかなければならない。

 
 ここで、世界史に限らず、社会科は夏から集中して勉強して間に合うという言説があることについて私なりの見解を述べておきたい。
 確かに夏から勉強を本格的に開始して間に合う場合はあるのだが、私の指導してきた経験則として、10人中3人程度が社会科で合格点をとり他受験生と点に差をつけられない程度に仕上がっている。そして、10人中1人が社会科を得点源として他受験生と差をつけることができるようになるという状況である。後の10人中の6人は社会科が仕上がらず、他科目で点数を上積みする必要や社会科で致命的な差をつけられるという結果になっている。
 したがって、英語や国語が余りにもできないという者以外は、早い時期からコツコツと社会科を勉強しておく方がよい。そして夏以降に社会科の勉強にも本腰をいれるという勉強計画を組む方がよい。春から社会科の勉強時間を確保できるならしているという反論もあろうが、社会科の得点が足を引っ張るという危険は常に考えておいた方が良い。

 逆に、大学の配点にもよるが、社会科で合否を決定づける程の点数差は中々つきにくい。社会科が面白いと感じ勉強熱心になること自体は大変喜ばしいことだが、英語、国語等の主要科目が大学入試突破で重要であることを忘れず、それらの科目の勉強を中心とすべきということにも注意してほしい。

 最初に、2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法で二次・私大試験に世界史が課される場合の基本的な勉強方法について説明する。次に、2-2.論述の勉強方法で論述問題についての対策を述べて、最後に2-3.難関私大対策の勉強方法で難関私大等の細かな知識への対策について述べる。
 なお、世界史については全くの未習で独学で0から勉強を行おうとしている者は、2-5.二次・私大世界史の独学を読んでから以下の内容を読んでもらいたい。

 それでは、以下で説明する勉強方法に必要な箇所を各自で読んでもらいたい。
また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。
受験勉強以前に全教科に通じる論理的思考を学びたい者は、LAAD(外部サイト[詳細説明])で学ぶことを強く奨める。

 2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法
 2-2.論述の勉強方法
 2-3.難関私大対策の勉強方法
 2-4.世界史の勉強で必要なその他の参考書
 2-5.二次・私大世界史の独学


 ページのトップへ戻る
2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法
 二次・私大試験で世界史が課される場合、センター試験程度の知識では基本的に足りないことが多い。センター試験程度の知識に加えて、更に細かい知識も暗記する必要がある。しかしながら教科書(山川出版社の『詳説世界史B』)が勉強の基本となるのはここでも変わらない。なお、総論でも述べた通り、語句暗記の際は、「いつの時代に(背景・理由も含む)」、「どこで」、「意義・役割(何をした・惹起した結果)」を意識しながら行うことを心掛けてほしい。

 それでは具体的な勉強方法について述べる。最初に入試に必要な知識のインプットから開始する。4月から勉強を開始して、7月までに世界史の通史についての知識をインップトすることを目標とする。

A.通史の暗記(4〜7月)

 最初に二次・私大試験に共通して求められるる最低限の知識を覚えることから開始する。

 先ず『実況中継』を使用する。これにより、歴史の因果関係や、背景、重要語句等を身に付ける。
 本書を80〜100ページ程を目安にキリのいい章まで読みながら付属のサブノートに穴埋め及び解説を書き込む。
 その後に該当範囲を教科書で読み、サブノートを参考にしつつ、教科書の記述にチェックしたり書き込んだりする。
 翌日に教科書を読み直す。

 以上の勉強の流れを1セットとする。新しいセットの勉強を開始する前には、前回セットの範囲の教科書を読み直す。

 このセットを4回程度繰り返して1冊の『実況中継』を終える。
 1冊の『実況中継』を終えた次の週には、当該時代の該当箇所の『はじめる世界史』(後でまとめて学習する文化史は解かなくてよい)を解いて基本事項が暗記できているかを確認する。そして教科書を読み直す。

 なお、東南アジア等で教科書と『はじめる世界史』とも配列をかなり異なる箇所があるが、一応『実況中継』で読んだ通りの配列で消化してもらいたい。

 以上のサイクルで学習を進めて、4月に「オリエント・ギリシア・ローマ・インド・中国・朝鮮・東南アジア史」、5月に「イスラーム・中世ヨーロッパ・ルネサンス・宗教改革・主権国家体制の形成」、6月「イギリス・フランス革命〜第一次世界大戦に至る国際関係史」、7月「第一次大戦・ロシア革命・中国革命〜第二次対戦後の世界」と一通りの学習を終える。


B.文化史の暗記と通史の復習(8月)

 8月での勉強計画について述べる。教科書に記されたチェックに注意しながら読み直しつつ、サブノートでの暗記を繰り返す。

 通史の復習と並行して、『実況中継』で文化史の学習を行う。このときも上のセットと同様に学習を進めて、8月の1カ月で『実況中継』を1冊終える。問題演習は、1セット終えるごとに該当範囲において『はじめる世界史』でやり残していた文化史を解くことで行う。

 以上のように勉強を進めると、4月から8月の勉強により、世界史の全範囲は一応学習を終えることができる。入試に必要な知識はほぼそろい、教科書も大学入試に必要な箇所がチェックされている状態となっている。後は、サブノートと教科書で暗記を反復しながら、テーマ史や論述、難関大を志望する者は個別に細かな知識の学習を行えば、世界史で高得点を安定してとることが可能となる。

 なお、ここまで説明した勉強計画及び勉強方法で使用する参考書等を以下にまとめて紹介しておく。


 ■『NEW青木世界史B講義の実況中継(1)』 語学春秋社
   『NEW青木世界史B講義の実況中継(2)』 語学春秋社
   『NEW青木世界史B講義の実況中継(3)』 語学春秋社
   『NEW青木世界史B講義の実況中継(4)』 語学春秋社
   『NEW青木世界史B講義の実況中継(5)』 語学春秋社
1.特徴
 河合塾で行われている授業そのまま書き下ろした講義調で世界史の流れと語句を解説する。(1)オリエント・ギリシア・ローマ・インド・中国・朝鮮・東南アジア史、(2)イスラーム・中世ヨーロッパ・ルネサンス・宗教改革・主権国家体制の形成、(3)イギリス・フランス革命〜第一次世界大戦に至る国際関係史、(4)第一次大戦・ロシア革命・中国革命〜第二次対戦後の世界、(5)文化史という区分で全5巻構成となっている。世界史の学習の基礎は本書で身に付けることができる。
 付属するサブノートもしっかりとしており、穴埋めだけでなく、本書の説明や模試の解説を書き込んだりしながら、学習を進めて、反復暗記のための軸を作成できる。

2.補足
 サブノートに穴埋めをするだけでく、本文中の空欄の穴埋め以外の赤字もしっかりとサブノートに書き込むことが大切である。
 文字が大きく、1冊の内容は通常の参考書に比べて少ないが、全5巻で約1800ページあり、量が多いので、秋から勉強を開始する場合は余り勧められない。
 本書は、あくまで歴史の流れを理解して重要箇所を確認することに効果があり、本文を読むだけで暗記が効率的に行えるとは言いにくい。それ故に、サブノートと教科書に本書で学んだことの書き込みをして、そちらで暗記を図るという勉強を行うようにしている。そのことに注意して使用してほしい。

 新課程用と旧課程用で構成や用語が微妙に異なっている。今年中にすべての巻が新課程用に切り替わると思われるが、それを待っていては入試に間に合わなくなる可能性がある。したがって、旧課程用で代用しておくのも手である。しかし、新課程用の教科書で新しく出て来ている語句などについては、自ら注意を向けておかないとならない。

3.進度
 上で紹介した勉強計画に沿って使用してもらいたい。

以下、新課程用
世界史B講義の実況中継(1)世界史B講義の実況中継(2)

 ■『はじめる世界史 要点&演習』 改訂版 Z会出版
1.特徴
 世界史の全範囲について、50テーマで要点がまとめられ、それに沿った問題集となっている。問題レベルは基礎からセンター試験、中堅二次・私大レベルであり、基礎確認として使える。
 『実況中継』でいきなり多くの語句が出て暗記することが難しいと感じるならば、本書のまとめページに掲載されいる語句をサブノートにチェックして優先的に覚えるように努めればよい。

2.補足
 中堅私大志望者は、十分な内容の本書は秋以降も繰り返して使用すればよい。難関私大や論述には不十分なので、秋以降は、本書でなく下で行う説明を参照してほしい。

3.進度
 上で紹介した勉強計画に沿って使用してもらいたい。



ページのトップへ戻る
2-2.論述の勉強方法
 論述の勉強方法について説明する。ここでは上で紹介した2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法の学習を終えた状態、つまり知識のインプットを終えた段階であることを想定している。したがって、当勉強計画に沿えば9月から論述の勉強を開始することとなる。

 論述問題といってもその形式は多様である。ただ暗記したものを書き出せばよい論述は語句とその内容を覚えているか否かで決まるので、通常の暗記だけで対応でき特別な論述の練習というものは必要ない。しかしながら、難関大、特に国公立二次試験の論述となるとそうはいかない。ただ覚えた事項を書き出すだけでなく、基本的な事項(教科書レベルの知識)の理解と暗記を基礎として、問題文を分析して題意に沿って、与えられた字数にまとめて論述する力が必要となる。この論述力を磨くことが論述の勉強である。

 『世界史論述練習帳』を用いて論述での問題の分析方法と書き方を学ぶ。本書を9月から使用開始したとして、11月に入るまでに、遅くとも11月半ばには終え、論述の問題分析法と書き方を身に付けると同時に、サブノートと教科書を論述に準拠したものに仕上げる。

 「A論述」を1週間1日のペースで1日1単元ずつ解いて解説を読む。
 その後に該当箇所のサブノートと教科書を書き込みながら読んで復習する。
 一度解いた問題は翌週にもう一度、問題の分析と解答の過程を意識しながら復習する。

 「B基本60字」は、「A論述」の勉強と並行してコツコツと読み進めていく。一言一句暗記する必要はないが、各問題の鍵となる語句と論述の流れを明確にして意識して覚えるとよい。
 1度読み解いた問題については、翌日、翌週の復習をする。こちらも「A論述」が終わる頃には1周して最後にもう一度一気に解いて覚えたかを確認しておきたい。
 基本60字は過去問演習をしている段階でも繰り返し読み、知識として定着させることが望ましい。

 その後の11月(半ば)以降は、過去問演習を行いながら本書で学んだことを自分で使いこなせるようになれば、論述問題でも高得点を獲得できるようになる。論述問題の演習と並行してサブノートと教科書を軸に反復暗記も忘れずに行うこと。その際に山を張るのではなく良い意味で論述問題を予想しながら行うとよいだろう。『世界史論述練習帳』の復習も行うことを忘れないように注意てしてほしい。
 もし過去問演習に入る前に論述問題の演習を行いたい場合は、『段階式 世界史論述のトレーニング』で自分が受験する予定の大学の論述の字数の問題を解くとよい。


 ■『世界史論述練習帳new』 パレード

1.特徴
 世界史論述に特化した問題集。論述問題を類型化して、問題文の読み方、分析法から、論述の書き方を丁寧に解説している。一問一問、問題文をどう読み取り、どのように論述の構成を設計するかの思考過程も詳細に述べられており、論述問題のイロハを学べる。
 巻末付録の基本60字は、論述で必要な基礎知識を確認することに役立ち、短文論述ならこの付録で対応可能となる。さらに大論述でも、基本60字の知識を再構成する等して書くことが多いので、付録もしっかりと暗記することが必要である。
 典型問題が多いので、本書を終えた後、過去問で類題と会うことも多いはずである。東京大学のような特殊な問題にも対応できるようになっている。本書の終了後は、過去問演習に入って志望校の論述問題を解けばよい。

2.補足
 大学入試において採点基準が公開されてないので確かなことは言えないと最初に断った上で次のことを読んでもらいたい。本書の採点基準は、必要な語句や定義の要素の他に問題文に応えて文章として成立しているかも重視している。論述の勉強の初期段階では、本書の採点基準に沿って自分の解答を反省してみることをすすめる。解答は問題文に応えているという前提が必要であるから、本書でしっかりとそのことを身に付けてほしい。
 本書で学習した内容を前提として、その後の過去問演習では、模試等で掲載されているような採点基準に沿っているか等、自分の解答を吟味するという流れの方が論述の勉強としてはよい。
 本書は論述の問題集であるため、知識がある程度ない状態で使用しても効果は上がらない。しっかりと基礎的な暗記を行った段階で使用することに注意してほしい。
 学校の授業で真面目に取り組んでおり既に世界史の学習があらかたすんでいる者は、2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法を開始するときに、本書の巻末付録の基本60字を並行して覚えておくと、論述に必要な知識も揃い、論述の勉強へと円滑に移行できる。余裕がある場合は、最初から学習に組み込んでみるのもよい。

3.進度
 上述した勉強計画に沿って使用してもらいたい。


 ■『段階式 世界史論述のトレーニング』 Z会出版

1.特徴
 短文論述から徐々に字数を増やしていき、最終的に300字以上の論述を書けるような構成となっている。解説も丁寧で本書から論述の勉強を開始することも可能である。採点基準も細かく付されているので論述の練習に最適である。

2.補足
 本書は1から論述を学べるようになっているが、論述問題の解き方は、『世界史論述練習帳』の方が分かりやすく優れている。したがって、本書を無理に使用する必要はない。他科目の勉強に余裕がある等して世界史の勉強に多くを費やすことができて『世界史論述練習帳』で学んだことを過去問で演習する前に練習したいという場合に、本書を使用するという流れの方がよい。

3.進度
 過去問演習の時間を圧迫することは望ましくないので、12月半ばには本書を終えられるように勉強をすすめてもらいたい。



ページのトップへ戻る
2-3.難関私大対策の勉強方法
 難関私大における世界史の勉強法について述べる。上で紹介した2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法の学習を終えた段階で、難関私大といはいえ合格点に届くことに必要な知識は6〜7割は大体揃っている。したがって、教科書とサブノートの反復暗記を行いながら、過去問演習を行い、未知の知識と出会う度に暗記し、教科書とサブノートに書き込んでいけばよい。語句暗記の際は、「いつの時代に(背景・理由も含む)」、「どこで」、「意義・役割(何をした・惹起した結果)」を意識しながら行うのは変わらない。

 一問一答の類の参考書は基本的に必要ないのだが、難関私大に出題され得る語句を効率よく拾うために一問一答集『世界史B一問一答』を使用する。教科書とサブノートを用いて歴史の流れを確認しつつ、『世界史B一問一答』でサブノートにない語句を補強していく。志望校によっては不要な語句もあるだろうから、本書の★で要不要の判断を行ってもらいたい。

 過去問演習に入る前に、問題演習を通じて知識の確認を行いたい場合は、『オンリーワン世界史完成ゼミ』または『実力をつける世界史100題』を用いればよい。また、大学別の世界史の問題集も多く出版されているので、赤本ではなくそれらの大学別の問題集を解いてみるのも手である。
  

 ■『世界史B一問一答』 完全版 2nd edition ナガセ

1.特徴
 入試問題を分析して出る語句の頻度分けを行った一問一答集。自分が志望する大学のレベルに合わせて一問一答で語句暗記を行うことができる。本書で学んだ未知の知識で必要なものは教科書やサブノートに書き込んでいく。
 非常に細かい語句も掲載されているので、目安として、中堅私大からMARCH・関関同立クラスの大学志望者は★2つまでを覚えて、早慶志望者は★1つまでも覚えればよい。

2.補足
 語句暗記の際に、「いつの時代に(背景・理由も含む)」、「どこで」、「意義・役割(何をした・惹起した結果)」を意識しながら行っていれば、一問一答の類の参考書は必要ないと上で述べた。一問一答では知識が分断され個別化されやすいので、教科書とサブノートで常に歴史の流れの中で語句を位置づけるようにしてもらたい。

3.進度
 各自が暗記時に適宜使用する。


 ■『オンリーワン世界史完成ゼミ (古代・中世・近代)』 代々木ライブラリー
   『オンリーワン世界史完成ゼミ (近現代・戦後編)』 代々木ライブラリー

1.特徴
 MARCHと関関同立の問題レベルで私大の形式に合わせた問題集。解説も丁寧で、まとめページで問題に関係する知識の整理と確認もできる。8月までにインプットした知識を問題で使うための演習本として最適である。問題を解き解説を読んだ後は、問われた箇所等はサブノートと教科書に書き込んでおく。
 なお、本書は、ほんとんど文化史を扱っていないため、別途対策を取る必要がある。

2.補足
 本書を使用後、過去問演習に入ればよい。

3.進度
 本書を使用する場合は、2カ月程度で当2冊を1周終える。なお1度解いた問題は翌週にもう1度解きなおす。
 早慶等の難関大志望者は、当2冊を1カ月程度で1周仕上げてほしい。


 ■『実力をつける世界史100題』 改訂第3版 Z会出版

1.特徴
 細かな知識を問う問題も多い最難関大レベルの問題集。解説が非常に丁寧で詳しいなので、教科書とサブノートの暗記事項を問題で確認し、解説で関連事項を補強することができる。オリジナル問題のため、過去問を早くから消化したくない者に適した問題集といえる。

2.補足
 『オンリーワン世界史完成ゼミ』の後に更に高い学力を目指す段階で使うのによい。最難関大レベルの問題集であるが故に、早慶等の難関大学志望者以外は本書を使用することはすすめない。

3.進度
 各自で必要に応じて進めるため特にないが、1カ月程度で仕上げるとよい。


 以上の勉強方法を実行して、過去問演習を行いながら必要な情報を書き込むことでいった教科書及びサブノートは志望大学の世界史に準拠した形となっている。直前の復習も効率よく行えるはずである。


ページのトップへ戻る
2-4.世界史に必要なその他の参考書
 最後に、世界史の勉強を進める上であると便利な参考書を紹介しておく。世界史マニアになれば入試では良い点が取れるが、入試は総合点勝負ということを忘れずに、英語や国語をしっかりと固めた上で世界史を得意科目とできるように頑張ってもらいたい。

 世界史で重要なテーマである、各国史等のような世界の歴史における縦の見方と、同時代の世界の動向等の横の見方を学習する必要がある。英語や国語の完成が遅く、世界史にかけられる時間がなければ仕方ないが、論述が主な大学も私立専願者も『ヨコから見る世界史』と『タテから見る世界史』を用いた勉強は是非行ってほしい。


 ■『ヨコから見る世界史』 改訂版 学研
   『タテから見る世界史』 改訂版 学研
1.特徴 2.補足 3.進度
 世界史の通史の学習では、個々の地域を時代毎に分断しながら進めるのが通常である。テーマ史の問題では、東西交流等のような同時代の地域横断的な問題や、各国史のような1地域の歴史を概観するような問題が出題される。本書はそのような問題に対応するための整理がよくできている。各テーマごとにチェック問題が付いている。

 『ヨコから見る世界史』では、同時代の地域横断的な視点で世界史をまとめている。

 『タテから見る世界史』では、各国史的な1地域毎に世界史をまとめている。

 難関私大志望者の他に、国公立二次試験の論述でも本書で得た視点は非常に有益で参考になる。難関大を志望する者全員に使用をすすめる。
 知識が一通り揃った9月以降から本書の使用を開始して、11月半ばまでに1周を読み終え、2周目を12月中に終えるように、世界史の学習に各自で取り込んでほしい。



 ■『世界史用語集』 山川出版社

1.特徴 2.補足 3.進度
 言わずとも知れた用語集の鉄板書。本書は、様々な出版社が出す世界史Bの教科書の語句を頻度とともに網羅している。これを用いて直接語句暗記等に努めることはないが、勉強中に出会った分からない単語等を調べるときに非常に有益である。世界史学習において、手元に1冊なければならない必携の書といえる。
 なお、本書の頻度は、どれだけの教科書に掲載されているかを示すもので、入試での頻出度では決してないので注意されたい。掲載されている教科書数はあくまで細かい知識であるか否かを判断する目安にはなり得るが、必ずしも入試の頻出度とは一致しない。
 余り効率の良い方法ではないが昔ながらの方法として、本書を最初から最後まで通読して覚えるという勉強方法がある。特に難関私大受験者に広く知られた方法だ。確かに本当に本書の語句を全て覚えることができるならば、私大世界史の入試は余裕で合格点以上をとれるだろう。それをするくらいならば、『世界史B一問一答』で効率よくさばいていく方をすすめる。



 ■『最新 世界史図説 タペストリー』 十二訂版 帝国書院

1.特徴 2.補足 3.進度
 資料集は、それ自体を中心に世界史を勉強することはないが、地図や写真(絵画・建築等)が教科書だけでは不足がちなのを補う役割を果たす。
 地図は、時代毎、地域毎に豊富に掲載され、同時代にどのような国家が存在したかもしっかりとまとまっている。政治史も、簡潔なまとめがあり、流れが分かりやすく図示されている。
 文化史の学習の際は、本書の該当箇所を開き、図版を見ながら学習すること。また、政治史にしろ、経済史にしろ、図版をみることが暗記の助けにもなるので、適宜眺めてみるのもよい。
 学校で配布された資料集で十分だが、独学で世界史を勉強するため、資料集を新しく購入する者のために一応本書を紹介しておく。


 ■『詳説世界史研究』 改訂版 山川出版社

1.特徴 2.補足 3.進度
 山川の教科書『詳説 世界史B』に準拠し、より詳細にした参考書。本書を教科書に代替することもできるが、費用対効果から安易に手を出すのは避けるべきである。世界史の勉強時間をどれだけ確保できるのかを考えてから教科書の代わりにするか判断してもらいたい。
 本書では教科書で簡潔に説明されていることが詳しく記述されている。難関私大で教科書に掲載されていない語句や教科書では手薄な論述の論点が教科書的な記述でどのように書かれているか等を知りたい場合に本書を使用すると便利である。辞書的な参考書として1冊手元にあると心強いだろう。
 ソフトカバーに比べて、ハードカバーの方が値段が高いが、机の上に広げたとき閉じにくいという利点がある。ここで紹介しているのはソフトカバー版である。



 以上で、二次・私大で世界史を使用する場合の勉強方法についての説明を終える。

 なおセンター試験については、二次・私大向けの勉強をしていれば、センター試験の過去問で形式に慣れることで高得点はとれる。センター試験のための勉強は特段行う必要はない。


ページのトップへ戻る
2-5.二次・私大世界史の独学
 世界史を0から独学で学習する場合についての勉強方法を示す。初学者や学校の授業を疎かにしてしまった者は、2-1.二次・私大世界史の基本的な勉強方法に入るの前に、『手にとるように世界史がわかる本』を予め2週間程度で一気に読む。その後再度1週間でもう1周する。したがって当節で紹介している勉強計画よりも3週間早く開始する必要がある。

 一気に読む際には、語句は自然と覚えられればよしとして、因果関係に注意を払いながら読むことを意識する。世界史の全体の流れがどのようになっているかを把握すると同時に、世界史の基本的な事項を理解できればよい。後は勉強計画の学習を進めて行きながら肉付けをしていくことになる。


 ■『手にとるように世界史がわかる本』 第2版 かんき出版

1.特徴
 人類の誕生から現代までを扱い、世界史の大まかな流れを掴みながら学習できるようになっている。図等も多く掲載され流れが掴みやすいように工夫がなされている。本書は受験用ではないため内容自体は薄いが、世界史の初学者や苦手な者が世界史を概観するのに非常に便利である。

2.補足
 世界史の初学者でも、『実況中継』をいきなり読んでも、暗記事項の多さに辟易としたり時代の流れを見失ったりしないのであれば、本書を使用せずに、『実況中継』から始めてもよい。

3.進度
 全10章なので1日1章読み、2週間程度で読み終える。1度読み終えたら、1週間程度で再度ザッとでいいので読み直す。各時代に、各地域で何が起きたかという大まかな世界史の流れを意識しつつ読むこと。



 世界史の勉強方法
1.センター世界史の勉強方法
2.二次・私大世界史の勉強方法
トップページへ戻る
勉強法コラム
検索:過去問と演習
 


Copyright 2012-2019 受験勉強法学 Examics. All Rights Reserved.

inserted by FC2 system