受験勉強法学 Examics

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■数学の勉強法

2.理系数学の勉強方法

 ここでは、理系数学についての勉強方法について解説する。勉強する範囲は、数学TA・UB・Vを想定しており、1.数学の勉強法総論で述べていることに注意して学習を進めてもらいたい。 参考書の詳細については4.数学の参考書で述べているので、ここでは進度等を紹介するに止めている。また、受験勉強における基本的な勉強方法については勉強法コラムで詳しく述べているのでそちらを参照してもらたい。

 それでは、以下で、具体的に「解法暗記」と「数学的思考力」を磨く問題演習をどのように勉強していけばよいか説明する。最初に、次のように大きく3つに分けた場合、自己の学習がどこまで進んでいるかを分析してもらいたい。

 A.基礎的事項の理解:教科書の定理等の証明ができるか、概念が理解できているか等。
 B.典型問題の解法暗記:典型問題の解法を知らっているか、覚えているか等。
 C.応用問題への解法適用:暗記した典型問題の解法を適用することができるか等。

 A.基礎的事項の理解ができていない者は、数学ができないのは当然なので、この勉強から始めることとなる。初歩に戻って教科書の基本的な概念を理解しなければならない。該当基準としては、学校の授業についていけてない、定期試験のために概念等を理解せずにただ丸暗記しているだけ、数学を苦手として模試の偏差値も50に満たない等である。
 この者は、2-1.基礎的事項の理解から開始を読んでもらいたい。目標は、中堅大学の数学で合格点を取ることである。難関大学レベルの入試数学で合格点を取りたい者は、正直厳しいものがあるが、一応その方針も示すので、読んだ後に考えてもらいたい。

 B.典型問題の解法暗記ができていない者は、数学的思考力以前の段階の解法を知らなければ解けないという状態であるから、解法のパターンを多く蓄積することが必要となる。数学に苦手意識を持つ者の半分はこの段階が疎かになっていることが多い。該当基準としては、教科書の基本的な事項は理解しているのに多くの問題が解けない等である。数学は、典型問題につていは解法を知っていなければ普通は解けない。
 この者は、2-2.典型問題の解法暗記から開始を読んでもらいたい。目標としては、難関大学と中堅大学医学部で数学で合格点を取ることである。

 C.応用問題への解法適用ができていない者は、典型問題の解法を一通り覚えているが、視点や切り口を変えられた問題に対処できない状態である。問題演習を通じて、暗記した解法を適用することができるような思考力を磨くことが必要である。該当基準としては、『青チャート』や『1対1対応の演習』で典型問題の解法暗記ができていることである。
 この者は、2-3.問題演習から開始を読んでもらいたい。目標としては、東京大学理科三類や京都大学医学部医学科で数学の合格点を取ることである。勿論、これらの大学学部を目指していなくとも、この勉強を行ってもよいが、他の科目の兼ね合いを考えた上でこの計画を最後までこなすか考えてもらいたい。



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2-1.基礎的事項の理解から開始

A.基礎的事項の理解と解法暗記(4〜9月半)

 数学で点を取るためには、教科書に掲載されている基本的な定理・公式を当然に理解していなければならない。こうした基礎的な知識は、『青チャート』等の基本事項にも簡潔にまとめられ証明もついている。これを読んで理解して導き出せるならよいが、初学者や数学に苦手意識がある者には厳しいものがある。したがって、そういう者は、土日に次の週に解く予定の分野の基本事項を理解するために、『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』を用いて学習する。

 『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』の使用目的は基本的事項の理解のためだ。定理や概念を理解して、解法暗記の前提となる知識を身に付けることが目的である。数学を得意科目とできるか否かは、こうした基礎がしっかりと身に付いているかどうかが大きいので、この勉強を疎かにしては解法暗記をしても効果は薄い。したがって、基礎と侮ることなく、しっかりと学習するようにしなければならない。
 章立てが『黄チャート』と異なるが、『黄チャート』で解く予定の単元を確認して、該当する単元の解説を『スバラシク面白いと評判の初めから始める数学』で読み、練習問題を解くように学習を進める。

 『黄チャート』の例題のみを平日に1日10〜15題解きながら解法暗記を行う。解いた例題については翌日と翌週に紙に書き出さなくてよいので、「問題の特徴」から解法とその流れが答えれるか確認しながら復習する。解けなっかたり、復習時に答えられなかった例題にはチェックを付けておく。
 数学TA・UB・Vを各1カ月から1カ月半位で1周し、合計4カ月で7月までに解法暗記の1周目を終える。

 次に、解法暗記に漏れがないか確認するため、再度1から『黄チャート』の例題を1日に20〜30題ずつ計算や論証も行いながら解く。この時に、解けなかった例題は解法暗記の漏れとなるので、チェックを入れて入念に覚える。チェックが2つ入った問題は、穴になりやすいので、以後の勉強の際も適宜復習するようにする。
 数学TA・UB・Vの解法暗記の復習を1カ月半で、9月半までに終える。これで数学の基礎的事項の理解と解法暗記が一通り終えられる。

 最終的な目標が、中堅大学の入試で数学を合格点をとることを目指しているので『黄チャート』を用いているが、難関大学まで視野に入れるなら『青チャート』で解法暗記を行ってもよい。その場合は、解法暗記の負担が増えるので、それなりの覚悟をもって勉強に取り組まなければならない。
 解法暗記の要領が分かってくれば、1日にこなす量を増やして解法暗記を早めに終えて「2-2.典型問題の解法暗記から開始のB.問題演習」へと早めに繋いでもよい。


B.問題演習:「数学的思考力」の養成(9月半〜12月半)

 解法暗記を終えたら、問題の特徴から分析して暗記した解法を問題に適用して解く能力である「数学的思考力」を磨くため、問題演習を行う。

 『スバラシクよく解けると評判の合格!数学』シリーズを用いて問題演習を行う。応用問題を解くための問題演習だが、本書は典型問題も多いので、解答を読む時には、解法の流れを覚えるつもりで取り組んでもらいたい。
 本書の数学TA・UB・Vの全3冊を1カ月1冊のペースで解いていく。
 1周後は、解けなかった問題を中心に1カ月程度で復習する。

 問題演習を進めていく中で解法を忘れていること等が明らかになった場合は、その都度該当箇所の『黄チャート』に戻って再度の解法暗記を忘れずに行う。このようにして、解法暗記をより完璧にしながら、「数学的思考力」を磨いてい行く。

 本書で、「数学的思考力」を磨きつつ解法暗記で漏れをなくしていけば、中堅大学の数学で合格点をとる基礎学力は養成される。その後は、志望大学の過去問演習へと移行して、捨て問等を見つけ時間内に合格点をとる練習を行えばよい。
 もちろん過去問演習と並行して、今まで解いてきた問題集の復習は随時して、解いた問題の類題は確実に解けるようにしておくことは言うまでもない。



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2-2.典型問題の解法暗記から開始

A.解法暗記(4〜7月)

 教科書の理解ができているので、典型問題の「解法暗記」を行い、数学を解く上での知識を習得する。

 『青チャート』の例題のみを毎日10〜15題解きながら解法暗記を行う。解いた例題については翌日と翌週に紙に書き出さなくてよいので、「問題の特徴」から解法とその流れが答えれるか確認しながら復習する。解けなっかたり、復習時に答えられなかった例題にはチェックを付けておく。
 数学TA・UB・Vを各1カ月かからない位で1周し、合計3カ月弱で解法暗記の1周目を終える。遅くとも7月半までには1周目を終えるようにしたい。

 次に、解法暗記に漏れがないか確認するため、再度1から『青チャート』の例題を1日に20〜30題ずつ計算や論証も行いながら解く。この時に、解けなかった例題は解法暗記の漏れとなるので、チェックを入れて入念に覚える。チェックが2つ入った問題は、穴になりやすいので、以後の勉強の際も復習するようにする。
 数学TA・UB・Vの解法暗記の復習を1カ月で終える。遅くとも8月の半ばにはこの復習を終えるようにしたい。

 これで一通りの典型問題の解法を網羅して覚えることができる。しかし、この解法暗記は、突貫工事的であり、忘れてしまう解法も多々あるだろう。したがって、問題演習に入っても定期的に解法の確認を行い抜けをなくす作業は行わなければならない。


B.問題演習:「数学的思考力」の養成(8〜9月下旬)

 解法暗記を終えたら、暗記した解法を問題に適用して解く能力である「数学的思考力」を磨くため、問題演習を行う。

 『理系数学のプラチカ数学T・A、U・B』と『理系数学のプラチカ数学V・C』を用いて問題演習を行う。
 『理系数学のプラチカ数学T・A、U・B』は1カ月弱で1周終えるように解き進める。
 『理系数学のプラチカ数学V・C』は2週間強程度で1周終えられるように解き進める。
 1周後は、解けなかった問題を中心に3週間程度で復習する。本書は典型問題も多いので、解答を読む時には、解法の流れを覚えるつもりで取り組んでもらいたい。

 問題演習で、解法を忘れていること等が明らかになった場合は、その都度該当箇所の『青チャート』に戻って再度の解法暗記を忘れずに行う。このようにして、解法暗記をより完璧にしながら、「数学的思考力」を磨いてい行く。

 本書で「問題の特徴」を分析して解法を適用する練習を行えば、中堅大学の数学の問題については合格点が取れるような学力となっているはずだ。中堅大学を志望する者は、本書の復習を行い完璧にすることで十分対応できるので、本書と『青チャート』の復習をして過去問演習に入ればよい。
 難関大学を志望する者は更に難しい問題集をやる必要がある。
 中堅大学だが医学部を志望する者も、数学で落とす問題をなくし安全策をとるためにも次に進んでもらいたい。

 ※現在、『プラチカ』シリーズは旧課程のものしか出版されていない。多少レベルは落ち、基本的な問題が多くなるが、『1対1対応の演習』で代替してもよい。


C.問題演習:「数学的思考力」の強化(9月下旬〜12月半)

 「数学的思考力」を磨いて考えながら問題を解くことができるようになったら、更なる数学の学力向上を目指した問題演習を行う。

 『やさしい理系数学』を用いて学習する。本書は難しい問題も多いが、難問に分類される中では典型的な問題も収録されているので、全てとまでは言わないが、解法暗記と同様に覚えていくつもりで解答を読んでもらいたい。また、別解で自分の知らない、思いつかない解法は、問題を見る視点を広げるのに役立つので、読み流すのでなく咀嚼しながら読んでもらいたい。
 本書を1日5題程ずつ解き1カ月半で1周する。その後、1カ月程で解き直して復習する。

 本書の問題を解くことができるようになれば、東京大学や京都大学の問題も半分程は解ける位の実力は養成され、難関大学の数学も合格点をとることができるだろう。
 中堅大学医学部を志望する者は、『やさしい理系数学』はややオーバーワークかもしれないが、難問も解けるようにするためには勉強しておくとよい。しかし、数学は合格点位で、英語や理科で高得点を取って補うのであれば、『1対1対応の演習』の演習問題で代替してもよい。

 その後は、今まで解いてきた問題集の復習をして、解いた問題の類題は確実に解けるようにしながら、志望大学の過去問演習を行い、捨て問等を見つけ時間内に合格点をとる練習を行えばよい。

 なお、数学の学力を更に向上させたい者で、他の科目の勉強を圧迫することなく時間を確保できる者は、勉強の進行速度を速めて「2-3.問題演習からの開始のD.問題演習:難問への取組み」 へと移ればよい。



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2-3.問題演習から開始

A.解法の確認と問題演習(4〜6月)


 高校3年生になるまでに、学校の授業を真面目に聞いて配布された問題集も隅々に行ってきた者は、解法もほとんど覚えているはずであるから、問題演習を行い「数学的思考力」を磨くことから始める。とはいえ、忘れている解法もあるかもしれないので、その確認を行いながら問題演習を行うこととする。

 『1対1対応の演習』シリーズをの6冊を解く。本書の例題は、比較的簡単な典型問題なので、ここで詰まることが多いようなら解法暗記が不十分であるから、「2-2.典型問題の解法暗記から開始」に変更することを進める。
 本書を例題と演習問題のセットを1日10題ずつこなして、2カ月程で1周する。解けなかった例題は、解法暗記の要領で覚えておく。2カ月程で数学T・A・U・B・Vの全6冊を1周する。
 解けなかった問題を中心に1カ月程で復習する。例題は典型問題で簡単だが演習問題は入試レベルであり、問題演習のように勉強する。

 本書で解法の確認と「数学的思考力」を磨くことが出きれば、入試の基礎的な実践力は養成される。


B.問題演習:「数学的思考力」の養成(7〜8月半)

 『理系数学のプラチカ数学T・A、U・B』と『理系数学のプラチカ数学V・C』を用いて問題演習を行う。前者を1カ月弱、後者を2週間強程度で1周終えられるように解き進める。1周後は、解けなかった問題を中心に3週間程度で復習する。本書は典型問題も多いので、解答を読む時には、解法の流れを覚えるつもりで取り組んでもらいたい。

 問題演習で解法を忘れていること等が明らかになった場合は、その都度該当箇所の『1対1対応の演習』の例題に戻って再度の解法暗記を忘れずに行う。このようにして、解法暗記をより完璧にしながら、「数学的思考力」を磨いてい行く。

 本書で「問題の特徴」を分析して解法を適用する練習を行えば、入試における数学の基本的な問題についてはほぼ解けるようになっているはずである。次からは、難関大学で落とせない問題も解けるような実力を養成する。

 ※現在、『プラチカ』シリーズは旧課程のものしか出版されていない。このシリーズを飛ばして次の段階に移ってもよい。


C.問題演習:「数学的思考力」の強化(8月半〜10月)

 「数学的思考力」を磨いて、考えながら問題を解くことができるようになったら、更なる数学の学力向上を目指した問題演習を行う。

 『やさしい理系数学』を用いて学習する。本書は難しい問題も多いが、難問に分類される中では典型的な問題も収録されているので、全てとまでは言わないが、解法暗記と同様に覚えていくつもりで解答を読んでもらいたい。また、別解で自分の知らない、思いつかない解法は、問題を見る視点を広げるのに役立つので、読み流すのでなく咀嚼しながら読んでもらいたい。
 本書を1日5題ずつ解き1カ月半で1周する。その後、1カ月程で解き直して復習する。

 本書の問題を解くことができるようになれば、東京大学や京都大学の問題も半分程は解ける位の実力は養成されるはずだ。東京大学理科三類や京都大学医学部医学科は、数学でもう一つ得点を伸ばしたいので更に難しい問題集をこなす。


D.問題演習:難問への取組み(10月〜12月半)

 『ハイレベル理系数学』で難問を解く演習を行う。本書は非常に難しいが、別解も豊富に掲載されているので、問題を色々な視点から分析して思考力を磨くことに専念してもいらたい。解法暗記については、無理に行う必要はないが、手も足も出ない問題については覚えてしまうのも手である。
 本書を1日5題程ずつ解き、1カ月半で1周する。1周後は、1カ月程で解き直して復習する。

 本書を消化することができれば、入試における数学については最高峰のレベルになる。東京大学理科三類や京都大学医学部医学科でも合格点を取ることができるようになっているはずだ。後は、今まで解いてきた問題集の復習をして解いた問題の類題は確実に解けるようにしながら、志望大学の過去問演習を行い捨て問等を見つけ時間内に合格点をとる練習を行えばよい。



 以上で、各レベルに合わせた理系数学の勉強方法について述べてきた。最後に、センター試験について触れると、二次・私大レベルの問題を解けるような学力があれば、形式に慣れて、誘導に乗るだけで満点近い点はとれる。しかし、センター試験の形式が苦手な場合は、『センター試験の点数が面白いほどとれる本』をセンター試験の過去問演習に入る前に一通り読み、形式及び傾向の対策を行えばよい。


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