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■勉強法コラム

暗記の基本的な仕方



要約

 暗記を行うときは1度に全てを覚えることは現実的でないので、忘れることを前提に何度も暗記しなおして、当日の勉強後に1日、3日、1週間、1カ月の4回復習することよい。暗記事項を覚える際には可能な限り理解しながら覚えることが重要である。ただし、丸暗記しなければならないものは、理解して暗記するときよりも多く何度も覚え直す作業を割り切って行うことが肝要である。


 
 暗記という勉強は、全ての科目に共通して基礎となっている。覚えることが主になる社会科は当たり前としても、一般に覚える量が少ないと言われる数学等も最初は暗記しなければ始まらない。そこで暗記をどのようにすればよいかについて論じる。忘却曲線等の記憶のメカニズムといったことについては専門家ではない筆者には正確にかつ的確に論じることができないので、Wikipediaや他のサイトを参考にしてもらいたい。ここでは筆者なりに暗記の方法論について述べるが、一般に言われていることと余り大差がなく独創性はほとんどなく既知の者も多いだろうから、何も知らない者以外は特段読む必要はない。


 暗記の方法として、見る、書く、音読等様々な方法がある。初めて暗記するものについては、見るだけでなく必ず紙に書き取り音読するようにしたい。これは可能な限り五感を用いて記憶に残すためである。2回目以降は、見るだけでもよいが、覚えにくいと直感的に感じた事項については音読したり書き取ったりする。そして、1度では絶対に暗記することは不可能であるから何度も何度もしつこい位に復習して覚え直す。

 忘却曲線によれば、復習は1日後、3日後、1週間後、1カ月後のタイミングで行うのがよいとされている。日常生活では毎日必ずしも十分に勉強時間を確保できるとは限らないが、1日後と1週間後と1カ月後の3回の復習は必ず行うようにしたい。復習の際は、覚えたつもりを回避するために、自分に甘くなることなく厳密に覚えたか否かを確認するようにする。例えば、英単語なら赤シートを被せて暗記することが多いだろうが、日本語訳を最初の1文字目をチラっと見たりして答えられても覚えたとしないことだ。

 暗記する場合は、忘れることを前提に行う。1度覚える作業をしただけでは暗記することができないのは経験済みであろう。同じ参考書を何周もして覚えることが重要となる。暗記については、勉強当日と1日後、3日後。1週間後、1カ月後の復習を併せて1周と考えた方がよい。大学受験以外にも資格試験等でも一般に参考書は3周せよという定説があるが、1日後、3日後の復習も1周と数えたら3周では全てを覚えることはできないだろう。

 一旦今まで述べたことをまとめると以下のようになる。最初の1回目は見る、書く、音読全てを用いる。1度勉強したことは1日後、3日後、1週間後、1カ月後に何度も復習すると行うとよい。その際に、自分に厳しく暗記できているかを確認する。1度勉強したことの復習を含めて1周として、最低3周は行う。


 暗記を行う上で復習の行い方を理解したところで、次に覚える方法について考える。お経を唱えるように有無を言わずひたすら丸暗記していく方法はできるだけ避けたい。勉強をする上では、どうしても丸暗記しなければならないことも多々あるが、覚えるべき量が膨大であるため現実的でない。無理なく多くのことを暗記する場合、理解しながら覚えるということが重要である。

 Aという語句及びAの定義という語句を覚える場合に、「A、Aとは〜である」とひたすら暗唱するのもよいが、それを何千、何万回も行うことは苦痛であろう。そして、記憶には暗記事項ではなく覚えていないという事実だけが残るだろう。
 理解しながら覚えるというのは、「Aとは〜である」を覚えるために、「〜は…が原因である」、「〜は…が背景としている」といった因果関係・理由や背景等の知識も理解することである。丸暗記よりも覚えることが増えているではないかと思うかもしれないが、その方が結果として暗記すべきことを暗記できるのである。
 これは筋力トレーニングと似たようなものである。筋肉を太く大きくするとき一度脂肪をつけてから筋トレをした方がよいと言われている。脂肪が筋肉に変わるのでは決してなく筋肉を付ける上で脂肪がつく程食べる必要があるためで、筋肉という目的物を得る上で余分なものでも一緒に取り入れなければならない。暗記事項が筋力にあたり、暗記事項という目的物を得るためには、一見余分に思える理解という脂肪を一緒に学習した方が身に付きやすいのである。

 理解する方法としては、説明を読んだ後に自分の言葉で実際に説明してみたりするとよい。参考書の説明通りに説明するのが一番容易いが、順番を入れ替えたり等して様々に説明を1つ、2つ、3つと試みることで、知識が点から直線からに、直線から平面に、そして平面から立体になるだろう。例えば、参考書の説明が「Aは〜であり、…という結果を引き起こす」であるとき、そのまま「Aは〜である。そして…という結果が生じる」と自分で説明してみるだけでなく、「Aは〜である。Aは…の原因である」といった具合である。言葉を言い換えるだけでも、自分が理解できているのかを知ることができるし、物事を別の角度から見る視点を得ることもできる。
 このようにして理解して暗記する作業を最初の何回か行うと思い出しやすいという利点もある。周辺知識や因果関係等が暗記事項に引っ付いているため、思い出したいことを呼び出す手掛かりが多くなるためだ。
 ただし、復習の際に毎回理解するための論理や流れを辿っていては時間がいくらあっても足りないので、復習の際は暗記事項に絞って行い、覚えられていないものについては理解しながら覚えるという方法がよいだろう。また、必ずしも全ての事項を理解して覚えることは難しいので、英単語のようなものはある程度割り切って丸暗記することも必要である。


 理解して暗記する場合に比べて丸暗記は難しいことが上記から分かるだろう。そこで丸暗記する場合はどうすればよいかについて述べる。丸暗記する場合は、忘れることを前提として、理解して暗記するときよりも多く何度も復習することである。例えば、1周目の1カ月後の復習を行う時に2周目に入るように何度も暗記しなおすといった要領である。この場合は、大量の暗記事項を1カ月で1周することになるので1度の勉強で大量に暗記する作業を行うことになる。しかし忘れることを前提に丸暗記するので、理解して覚える場合よりも1つの暗記事項にかける時間は短く済ませて、時間に対する勉強量を圧縮して行うことで可能とする。

 限られた勉強時間を考慮すると、1周目の1カ月後の復習で覚えた事項については2周目以降は暗記する作業を行わないという方法も大切である。覚えられていないものに×をつける等して区別しておくとよい。ただし、3周目を終えた後等や入試前の総復習時には、覚えたことも時間が経ち忘れている可能性もあるので必ず暗記できているか確認作業を行うようにする。


 長々と暗記の方法について述べてきた。暗記は単純作業になりやすいが、勉強の中で最も重要な役割といっても過言でない。理解しながら覚えるように努め、忘れることを前提に定期的に復習しながら何度も何度も覚えるようにする。一度覚える作業をすれば、忘れてしまっても思い出すことや再び覚え直すことも1回目よりも容易になるので、忘れてしまうことを恐れることなく暗記を行ってもらいたい。

 
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