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■勉強法コラム

記述・論述問題の自己採点法



要約

 記述式・論述式の問題を自己採点するときは、模範解答と解説から採点基準を見つけ出す。模範解答を何個かの要素に分解して、要素ごとの関係・論理を確認する。表現の幅は、文意が変わるか否かが一つの判断基準となる。より客観的な視点から自分の答案を採点するために3日程度空けてから再度採点してみると効果的だ。自己採点できるようになることは、記述式・論述式問題を解く上で有益で重要な技術である。


 
 受験勉強を行っていると一度はぶつかる疑問と問題が、記述式問題あるいは論述問題に対する自分の解答が果たして点数が取れているのか否かという判断がし難いということだ。これは記述・論述問題の解答には幅があることに起因する。この解答の幅に対する認識は非常に重要となる。この認識を甘くして勉強していると、実際の入試で合格点となる解答を作成する学力を身に付けることができない恐れがある。だからといって認識をやたらと厳しくすると、瑣末な事項に意識が奪われ日々の勉強の進行が悪くなる。許容される幅に収まった記述・論述問題の解答の作成方法は各科目異なるので、各教科の勉強方法での勉強を通じて身に付けてもらうとして、ここでは記述式・論述式問題を自己採点する方法を解説したい。

 記述・論述問題を自己採点できるようになることは非常に重要である。なぜならば、模範解答を見てどの要素が採点基準を満たすのかということが分かることは、問題を正しく解答できるための第一歩であるからだ。
 自分の解答と模範解答を照らして、必要な要素がどれだけ入っているのか、不必要な要素で冗長になって得点に結びついていないかを判断できなければ、自分の解答を採点することはできない。そして、自分の解答と模範解答の差異が分からない場合は、往々にして基礎学力が不足している傾向にある。なぜ設問からこのような解答になるのかということが理解できていないからだ。

 この模範解答における必要な採点基準を見つけ出す学力は、得点力に直結し、記述・論述問題を解く上で非常に役に立つ。設問から大体の採点基準に入る要素の数を見つけ出せれば、答案作成時の基準になる。たとえば、4要素「A」「B」「C」「D」が採点要素になっていると判断できると、答案作成時に4要素を見つけ出し論理的に組み合わせれば答案ができるということが分かる。こうした採点要素への嗅覚は、記述・論述問題の自己採点を通じて養われていく。その技術の習得を説明しよう。

 模範解答を見て、重要となる要素が何個あるのかを毎回のように考える。模範解答を見て、採点要素となるものに個別に分解する。そして自分の解答にその要素が入っているか否かを判断する。自分の答案に入っている要素の数だけ得点できたと考えられる。
 ただし、どんなに要素の数だけ満たしていたとしても、文(章)として破綻していたり、論理的に逆のことを論じていたりしたら得点には勿論ならない。たとえば、正答は「AだからBである」だが、自分の答案に「BだからAである」または「AつまりはB」等としていては、採点要素「A」「B」が答案の中に入っていても得点は与えられない。なぜならば、要素だけが入っていても正答とは表していることが全く異なっているためだ。

 次に採点基準となる要素を見つけ出した後は、表現の幅について考える。設問や問題の関係から「A」という表現を使うべきところを「A'」とした場合は許容され得るのかを考える。これは問題や設問によりけりなので、一般論として論じることは難しいが、文意が適しているか否かが判断基準となる。「AだからB」は「A'だからB」と同値か、つまり言い換え可能か等を検討するとよい。そして、自分の答案が許容範囲の表現の幅に収まっているかを判断できれば、自己採点を行えるようになる。


 以上のような方法が記述・論述問題の自己採点の方法の概要だが、実際に自己採点するとなると、難しく感じるだろう。自分の表現は許容範囲の幅に収まっているのか、そもそも論理的に問題ない文章になっているのか、もしかしたら採点要素すら入ってないのではないのか、といった不安があるだろう。そこでこの不安を解消するための方法を紹介する。

 自分の解答をしばらく放置するのだ。3日経った位の自分の答案の内容を忘れた頃に、自分の答案を他人の答案と思いながら、自分が見つけ出したり、問題集に掲載されている採点基準に当てはめて採点してみる。そうすることで少しは客観的に自分の答案を見ることができるようになる。解いた直後では設問への姿勢と自分の答案が色濃く脳裏に焼き付いて主観的になりがちだが、時間を置くことで答案を冷静に見ることができるようになる。
 もちろん、3日経って答え合わせしたのでは、折角解いた問題が身に付かないので、答え合わせや解説は答案作成時にしっかりと読んで理解しておかなければならない。この時間を置く方法は自分の答案をより客観的に見るための方法であることに注意してもらいたい。


 このようにして、記述式・論述式問題を解いて自己採点するときは、模範解答から採点基準を見つけ出し、要素に分けて、自分の答案と照らし合わせて行けばよい。そして、より客観的な目で見るために、自分の答案をしばらく日にちを置いてから見直すことも有効である。


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