受験勉強法学 Examics

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■勉強法コラム

模試の活用方法



要約

 模試を受けた後に自己採点を行い解説を読み込み、自分の弱点や問題点を分析することで日々の学習の効率や行うべきことが明らかとなる。模試を受けて終わりにすることなく、何故問題を間違えたのか、自己の答案は得点できているか等を分析して、それらを
補強するように日常の勉強にフィードバックできるように模試を復習するのである。


 
 受験勉強を行うと、年間で何回か模擬試験を受験する。模試は試験時間内に問題をどれだけ解けるかという練習になり、志望校の判定や偏差値で他の受験生と比べて相対的な自己の学力が分かる。模試を活用することで日常の勉強法の見直しを行うことができる。そこで模試の活用方法について考えてみたい。

 模試を解き終えて解答・解説を貰った後は、すぐに答え合わせを行うべきだ。多くの者は当然のように模試受験後に答え合わせを行うが、その時に自分の解答が正解であったか間違っていたかに終始するだけではあまり意味がない。反省と分析を行い日々の学習にフィードバックさせることで、試験時間内に問題が解けたか否かの力試し以上の効果を狙う。

 最初に模試を受ける時に行うことを説明する。受験後に解答・解説を読みんで自分の答案と比べるために、問題冊子に自分の答案を書き込んでおく。特に記述系の模試については、問題冊子に自分が書いた答案を写しておくのが理想だが、時間が足りないこともあるだろうから、少なくとも自分の答案に入れた要素や解答の根拠に線を引く等して分かるようにしておく。また、問題を解くときは大問を最初から順番に解くのではなく、自分が解けそうなものから解いていくようにする。問題集を解く時みたいに、1つの問題に分からないからといって拘っていては時間がなくなるので、可能な限り総合点が高くなるように問題を処理していく。また、勘で正答した問題は実力とは言い難いので、「?」を記す等して明確にしておく。


 次に模試受験後の復習を説明する。自分の答案と解答を比べて正答したか否かを自己採点して、解けなかった問題を中心に解説を読んで理解する。多くの者は答え合わせは当然のように行っているだろう。ただ答え合わせをして終わらせるのではなく、この模試の復習が日常の学習にフィードバックする上で重要になってくる。詳しく見てみよう。

 先ず自己採点についてであるが、正解か間違いかで終始することなく、模試受験中に「?」を付していたものについては正答していても、理解の不足という態度で厳しく向かい合って間違いとして必ず復習を入念に行うようにする。採点すると多く間違えたりした箇所から自分の苦手な分野が分かる。

 なお、自己採点時に、マーク式模試なら正解か否か明確に分かるが、記述式模試は自己採点が少し困難であると感じる者も少なくないだろう。模試の解答・解説は1問1問丁寧に解説してあり、解答の根拠からどう正答を導くかを緻密に示してある。記述式模試は、解説を読みながら、答案に盛り込むべき要素を自分の答案に盛り込むことができているかで満点を取れているか、部分点はどれだけとれているかを判断して客観的な採点が大体は行えるようになっている。この自己採点を行う技術を身に着けることができれば、採点基準が示されていない問題集でも解答・解説を読むことで、記述式の問題で自分の答案がどれだけ得点できているかある程度判断できるようになる。こうすれば、模試は問題を解く練習だけでなく、自分の答案を客観的に良し悪しを判断する能力を向上させるための優秀な教材となる。

 自己採点を終えたら解説の読み込むに入る。正解した問題についても一応は解説には目を通すようする。この理由は、自分の解法よりも早く正確に問題を解く方法が示されている可能性があること、また正答を導き出した自分の思考に実は勘違いがあったが偶然正解したという可能性があること等が挙げられる。こうした可能性を潰して自分の学力と問題処理能力を向上させる。

 間違えた問題については、解説を読みながら自分は何故解けなかったのかを分析する。解答の根拠をどのように発見すればよかったのか、解法を適用するにあたってどこに注目すればよかったのか、正しく答えを導き出せていたのに途中で何故間違った方向へと進んでしまったのか、などを徹底的に洗い出して、ただ分からなかったというだけで終わらせるのでなく、間違えた原因を分析する。原因を分析したら、自分はどこで間違えたのだから、正答を導くために何に気を付けなければならないかを学習できる。また、間違えた問題でも、未履修の分野や未だ勉強をしっかりと行っていない分野については解くことができなくても仕方なく、今後の勉強で補強していけばよいのだが、勉強をしっかりと行った分野で間違えた問題は特にこの分析を入念に行うようにする。

 なお、間違えた問題つまり×が付いた問題でも、試験時間が足りずに手がつけることができなかった問題や手をつけても試験が終わってしまった問題については、模試終了後に問題を解いてみて時間があれば解けたか否かを明確にしてから解答・解説を読むようにする。時間があれば解けた問題については、試験時間内に分からない問題をもっと早く見切りをつけて取り組むようにしなければならない、または1問1問の問題処理能力をもっと高める必要があるということを分析する。時間があっても解けなかった問題については、間違えた問題と同様に復習すればよい。

 以上のように、模試受験後に解答・解説を読み込むことで、「得点できなかった、時間が足りなかった」という文言をより具体的に分析することができる。後は、分析により明らかになった自分の弱点や問題を速く正確に解く上で必要なものを、日々の勉強で気を付けたり何を重点的に勉強するべきかを考えて取り入れていけばよい。


 補足として、模試受験前の勉強と模試復習後の模試返却について述べる。

 受験前に模試のための勉強を行うかということについては、模試対策の勉強をする必要は基本的にはない。日々の学習で学んだことを試す場であり今後の勉強の方針を見直すためのもと考えたら、対策して得点をしても余り意味を感じないし勉強計画を崩してまで事前対策を行う必要性も低いと思われる。
 ただし、大学別模試等のように、母集団や問題が志望校のそれと酷似するような特殊な模試については、日常の勉強に余裕があるなら前日位に自分の苦手分野等は復習して臨むのもよいだろう。入試本番を想定した模試であり、本番同様に臨むという意味では、事前対策を行うのも悪くはない。これも必ずするべきというわけではなく、余裕があれば事前対策をしてもよい程度ではあることに注意してもらいたい。

 模試を受験して復習した後にしばらくしたら模試が返却される。答案が採点されて得点と偏差値、さらに志望校判定が一度に分かる。模試受験直後に入念に復習したが、返却された自分の答案を見ながら、再度簡単にでよいので復習する。これは問題集を何周も繰り返すのと同じことである。志望校判定については模試の活用の仕方の範囲から少し外れるのでここでは割愛する。


 模試の活用方法について述べてきた。模試は、日々の勉強を潰して半日や1、2日もかけて受験するのであるから、ただ受けて得点や判定に一喜一憂するだけでなく、以上のように受験勉強に上手く活用できるように利用するようにしてもらいたい。


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